インプラント

インプラントの寿命と長くインプラントを使うには

2017.10.18
 インプラントは、虫歯や事故などが原因で歯を失ってしまったときに、失った歯の骨の部分にインプラントと呼ばれる人工歯根を埋め込み、天然の歯と同じように使うことができるまでに回復する治療です。
 インプラント治療は、高額な治療になるため一度行ったときにどれぐらいの寿命なのかが気になる人が多いと思います。インプラントを寿命や長く使う方法をご紹介していきます。

インプラントの寿命について

インプラントの寿命
 寿命の考え方が、どんなに手入れをしていても時間の経過が理由でどうしてもダメになることになるとインプラントの寿命は、ほぼ半永久的に使うことが可能です。インプラント自体の素材は多くのものがチタン製になります。チタンは金属のなかでも硬くて丈夫な部類になります。また、酸素を通しにくくするため金属の中でも非常に錆びにくい素材です。そのためインプラント自体が溶けたり腐ったりして壊れることはほとんど考えられません。上部構造にあたるものもオールセラミックが主流になりますので、溶けたりしないですし変色の心配もありません。
そのため、インプラント自体は時間が経過したからといって勝手にダメになることはないので寿命というものはありません。
インプラントを製造するメーカーからのデータからも、40年以上使うことができたという報告もあります。
 一般的には10年は問題なく使用できると考えられます。しかし、噛み合わせが悪かったりと個人差によって10年も使うことができなかった例もあります。
一般的に10年程度持つのは、メーカーからのデータをもとに、歯科医院のインプラント治療の保証期間も10年に設定していることが多いことから、10年が一つの区切りと考えられます。

他の義歯治療と比較しても寿命は長持ちする

 インプラントは10年以上使えることがほとんどですが、同じ義歯治療でもブリッジに関しては10年程度問題なく使える確率は約50%程度、入れ歯に関しては5年程度で約50%程度がダメになってしまいます。
それに対してインプラントは一般的に10年程度使うことができ、自分のケア次第で半永久的に使用できるため義歯治療の中でも圧倒的に長持ちすることが分かります。

インプラントの寿命が来る理由

 インプラントに寿命が来て、ダメになってしまう主な理由としては、以下のようなことが考えられます。

①インプラント周囲炎によって周りの骨が溶けてしまう
 インプラントは、人工で作られた歯のためインプラント自体虫歯になることはありません。しかし、インプラント周囲の歯茎は人工物ではないので、ケアを怠っていると歯周病になってしまいます。
また、インプラントは、天然の歯のように歯周病菌への防御機能がないため、普通の歯周病よりも進行速度が速いため気づいたときには、インプラント自体を取り除く必要があるところまで悪化しているケースもあります。

②インプラント自体や上部構造部分が破損する
 インプラントは、チタン製で非常に丈夫な素材でできています。しかし、噛み合わせが悪く過度な負担がインプラントにかかれば、割れてしまします。
また、上部構造部分はセラミック素材になるため性質上割れたり、欠けたりする可能性があります。

 インプラントがダメになるときは上記のような理由が多いです。しかし、上記のようなことは日々の自分自身による口腔内のケアと定期的な歯科医院でのメンテナンスによって防ぐことができます。
インプラント周囲炎は早期に発見すれば、問題なく治療することがきます。また、噛み合わせが悪い場合も調整してくれたりと対処法を教えてくれます。歯科医院での通院は、多少面倒なことかもしれません。
しかし、インプラントを長く健康な状態を保つためには、歯科医院での定期的なメンテナンスや検診は必要になってきます。

インプラントを長く寿命を伸ばし使っていくには

インプラントの寿命を長くするには
①担当の歯科医師、衛生士のプロの方に定期的にメンテナンスしてもらう
 自分で行う歯磨きやフロスなどでは取り除くことができない歯石や歯垢があります。そのため、定期的にメンテナンスを行って、歯ブラシなどでは取り除くことのできない汚れを取り除いてもらいましょう。
また、歯科医院に通うことはクリーニングによる歯周病予防だけでなく、インプラント周囲炎の予兆はないかやインプラントの状態なども確認してもらえるため検診の役割もあるので定期的に歯科医院には必ず通うようにしましょう。


②噛み合わせの調整

 天然の歯の周りには歯根膜というクッションのような役割をする存在があります。インプラントは骨と直接つながっているので,歯根膜は存在しません。また、上部構造の部分はセラミック素材のため、擦り減りが少ないため、時間が経つにつれてインプラントの方のみが強く当たってしまうため、他の歯を守るためにも、噛み合わせの調整が必要になってきます。

③マウスピースを装着する
 歯ぎしりが強い人は、気づかないうちに歯をすり減らしてしまったり、割れる原因や揺れる原因になっていますそれは、天然の歯だけでなくインプラントに対しても同じことが言えます。歯ぎしりの力が強いとインプラント自体が揺れてきてしまいますし、セラミック製の上部構造部分も割れる原因になってしまいます。
そのような歯ぎしりから歯やインプラントを守るため、マウスピースによって力を分散させることで歯やインプラントの負担を下げることで守ることができます。

④健康管理をしっかり行う
 インプラントを良い状態に保つためには、口腔内のケアだけでなく骨も健康的な状態にしておかなければなりません。糖尿病や骨粗鬆症などの病気は骨を弱めてしまいます。
糖尿病や骨粗鬆症などの病気で骨を弱めてしまいますと歯やインプラント周囲の骨も弱くなり、免疫力が下がってしまい歯周病になりやすくなってしまいます。

⑤正確なインプラント手術
 インプラントを長持ちさせてより長く使うためには、施術者による正確なインプラントの設計と手術は必要不可欠です。インプラントの位置や方向によって汚れの付き具合や噛むときにかかる力の方向が変わってきます。
インプラントの手術が正確に行われず小さなズレが生じた場合、その生まれた小さいズレは骨の吸収を促進させてしまうことがあります。将来的なことを考えても、正確なインプラントの設計や手術は半永久的に使用するためには大切になります。
また、インプラントは費用が高価なものから安価なものまでいろいろな種類が発売されています。
安価だからといって選ぶと、インプラントが骨の中で折れたりしてしまうことがあります。インプラントは多少費用が高くなっても、しっかりしたものを選ぶことをおススメします。

インプラントの寿命を長持ちさせるため自分でできる口腔内のケア方法

インプラントを長持ちさせるため自分でできる口腔内のケア方法
 インプラントを長持ちさせるためには、歯科医院でのメンテンナンスは必要ですが、忘れてはいけないのが日々口腔内のケアをしっかり行って、歯垢や歯石などの汚れを溜めない事が大切になります。口腔内のケアの方法をご紹介します。

①歯ブラシ
 歯ブラシは、適切な力で行うようにしてください。力を入れすぎて歯磨きをしてしまうと、歯茎を傷つけてしまいますし、出血などの原因にもなってしまします。
また、歯ブラシの硬さも硬すぎると歯茎を傷つける原因になってしまいます。インプラントの歯磨きを行う注意点としては、インプラントは天然の歯と比べて根本が細くなっています。そのため、汚れがその細くなっている部分に多く残ってしまいます。なので、歯磨きをするときは、インプラントの周りの歯茎を中心に磨くようにしてください。
また、歯磨き粉はインプラントを使用している人は、フッ素無配合の歯磨き粉を使用することをおススメします。最近では、歯磨き粉に配合されているフッ素によってインプラントの素材であるチタンを腐食する可能性があることが分かりました。インプラントの表面であるチタンが腐食されてしまうと、歯垢が付着してしまいインプラント周囲の歯茎が炎症を起こしてしまう可能性がでてきます。
 そのため。インプラントを行っている人は、フッ素無配合の歯磨き粉を使用することをおススメします。

②デンタルフロス
 上から強く歯茎の中に入れてしまうと、歯茎を傷つける原因になってしまいます。使い方としては、インプラントは細くなっている根元に汚れが溜まりやすいので、その部分に汚れを残さないようにしましょう。

③スーパーフロス
 スーパーフロスとはデンタルフロスにスポンジが着いたもののことです。使い方に関しては、インプラントの間に入れて着いているスポンジの部分でインプラント周りの汚れを取っていくように使っていくことで効果的になります。

 インプラントのケアは歯科医院でのメンテンナンスは大切ですが、毎日メンテンナンスを行えるわけではありません。毎日の自分自身でのケアが基本的に重要になってきます。毎日にケアを怠ってしまうとメンテンナンスを受けていてもインプラントはダメになってしまう可能性が高いです。
歯ブラシだけでなく色々なものを使って毎日のケアをしっかり行っていきましょう。

インプラントのトラブルが起きたときの対処方法

インプラントのトラブルが起きたときの対処方法
●インプラントは部品の交換も可能
 インプラントは骨の中に埋め込まれているインプラント、インプラントと人工歯をつなぐアバットメント、人工歯の3つの構造でできています。そのため、人工歯の部分でセラミックが欠けてしまったり、インプラントとアバットメント部分をつなぐネジが緩んでしまった場合でも、人工歯根にあたるインプラント自体はそのままの状態で上部に部分だけを作り直すことが可能になります。


●再手術

 インプラントは骨と一体化します。これは、インプラントが天然の歯と同様に使用できる大きなメリットの理由の一つになります。骨と一体化しているため、仮にインプラントを取り除くときは、周りの骨を削る必要があります。
そのため、インプラントを取り除いて同じ個所に再度インプラントを再利用する場合には骨の再生手術を行う必要があります。
骨の再生手術を行うとインプラントを抜いた箇所にでも再度インプラントを埋め込むことが可能です。

●前歯の歯茎が下がってしまった場合
 インプラントを前歯に入れたときに歯茎が下がってしまうことがあります。そのようなときは、歯茎を移植することで歯茎に厚みを持たせて改善することができます。

●インプラントの周りが腫れる
 インプラントの周りの骨が歯周病によって下がってくると歯茎が腫れてしまったり、膿が出たりしてしまうことがあります。そのような場合、歯茎の中のインプラントの周りの汚れを取り除くことによって改善することができますが、こちらはすべてのインプラントの状態に対応できるわけではありませんので、インプラントの状態をみて担当医と相談するようにしてください。

 インプラントにトラブルが起こってしまった場合、いろいろな対処方法はあります。しかし、何かトラブルが起きてしまったということは、何か問題があるということです。そのため、日々のケアの方法などに問題はないかなどを歯科医院で相談して、日々のケアの方法などを見直していく必要があります。

インプラントの保証期間

 インプラントの保証期間に関しては、5~10年程度で設定している歯科医院が多いです。インプラント自体平均的に10年程度は問題なく使うことができるため、多くの歯科医院がこのぐらいの期間を保証期間として設定されています。
インプラント自体前述したように溶けたりすることはありません。しかし、口腔内のケアを日々怠ったり、メンテナンスを怠ってしますと歯茎などがダメになりすぐにダメになってしまう原因になります。
メンテナンスを怠ったりした場合には、保証が効かないこともあります。補償内容はよく確認する必要がありますが保障に関係するほどメンテナンスを大切だということです。

まとめ

 インプラント自体は非常に丈夫なため、時間の経過だけで勝手に壊れたりダメになったりする可能性は低いです。そのため、インプラントを長持ちさせるためには、自分自身の注意によって延ばすことができますし、半永久的に使うことができます。
日々のケアの方法がしっかり行えているか、歯科医院でのメンテンナンスが怠っていないかなどが大切になります。また、歯科医院の環境も十分に設備が整っているか不安なことに対して、きっちり説明してもらうことで知識の豊富さがうかがえます。このような、医療設備が充実しており、様々な説明をしてくれるような歯科医院でインプラント治療を行っていくことが大切です。
 正確なインプラント治療をしてもらうことと日々にケアやメンテナンスを怠らないことがインプラントを長持ちさせる方法として大切なことになります。


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