審美歯科

一般的な差し歯と審美治療での差し歯の違い

2017.10.22
歯科治療で入れる一般的な差し歯は保険が適応されます。しかし保険で入れた差し歯で起こりがちなのが、周囲の歯ぐきの黒ずみです。

それでは審美治療で入れる差し歯なら、この歯ぐきの黒ずみは予防することができるのでしょうか。

今回は差し歯による歯ぐきの黒ずみの原因に着目しながら、保険治療と審美治療の差し歯の違いについてご紹介していきましょう。

普通の差し歯で歯ぐきが黒ずむ2つの理由

普通の差し歯で歯ぐきが黒ずむ2つの理由
保険で作った差し歯で起こりやすいのが、歯ぐきの黒ずみです。差し歯との境目あたりの歯ぐきがうっすら黒く見えたり、差し歯周囲の歯ぐきが広範囲で黒く変色したりするなどの症状でお悩みの方も少なくないでしょう。

保険治療で作製する差し歯は、歯根(歯の根っこ)に差し込む土台の部分や、被せ物に金属が使用されます。この金属が歯ぐきが黒くなる原因になっています。

●被せ物の金属が一部見えている、もしくは歯ぐきから金属が透けている(ブラックマージン)
前歯の差し歯で歯ぐきが黒ずんで見えてしまうのは、被せ物に使用されている金属の一部が露出してしまうことが原因の1つです。この露出は被せ物と歯ぐきの境目にあらわれ、金属部分がくっきりとした黒い線を描いたように見えることがあります。歯科ではこの部位を「ブラックマージン」と呼んでいます。

ブラックマージンは差し歯を入れて数年してあらわれます。これは差し歯を入れた後に歯ぐきが少しずつ下がっていき、歯ぐきの下に隠れていた金属部分が露出してしまうのが原因です。

また差し歯を入れた直後からブラックマージンが見られるケースもあります。この原因には、前歯の歯ぐきが薄いため金属部分が透けてしまうことや、もしくは差し歯の形状自体に問題があることが考えられるでしょう。

ブラックマージンは歯ぐきの色が変色しているわけではないので、差し歯を新しく替えることで黒ずみを解消することができます。

●金属の一部が溶けだして歯ぐきを黒く染めてしまう(メタルタトゥー・金属刺青)
普通の差し歯で歯ぐきが黒ずむもう1つの原因は、金属の一部が歯ぐきへ溶けだし、その溶けた金属が歯ぐきを黒く染めてしまうことです。また歯根に金属の土台を入れた後、ドリルで形を整える際に削られた金属の破片が飛び散って歯ぐきを黒くしてしまう場合もあります。このように金属自体が歯ぐきの中に入り込むことで生じる歯ぐきの黒ずみをメタルタトゥー(金属刺青)と呼んでいます。

メタルタトゥーは歯ぐきそのものが金属によって変色してしまうため、黒ずんだ歯ぐきをメスなどで取り除く治療が必要になります。また近年では歯科用レーザーを用いてメタルタトゥーを取り除くことも可能です。

審美治療の差し歯と普通の差し歯はどこが違う?

以上のように普通の差し歯で歯ぐきが黒ずんでしまうのは、すべて土台や被せ物に使用される金属が原因です。そのため差し歯に金属を使用しないことが、歯ぐきの黒ずみを予防する唯一の方法と言えるでしょう。

審美治療では差し歯は歯根に入れる土台から、その上にかぶせる被せ物まですべてメタルフリー(金属を使用しない)にすることができます。

●ファイバーコア(白い土台)
虫歯で歯の部分を多く失った場合、被せ物を入れる前に歯根に土台をいれて補強することが必要です。歯科ではこの土台のことをコアと呼んでいます。

保険治療のコアは銀で作られるため、時間が経つと銀が溶けだして歯が黒ずむ(メタルタトゥー)の原因になります。審美治療では金属を使わないコアを使用することで、歯ぐきの黒ずみを予防することが可能です。

審美歯科で使用する白いコア(土台)はファイバーコアと呼ばれ、ガラス繊維でできた芯棒とプラスチックで作られます。ファイバーコアは金属よりも柔らかく、しなる性質を持っているため、入れた後に歯が割れにくいというメリットもあります。

●オールセラミッククラウン・ジルコニアクラウン
保険治療の被せ物は奥歯では金属のみ、前歯では金属の表面にプラスチックを張り付けた前装冠(ぜんそうかん)という被せ物しか使用できません。いずれも歯ぐきに触れる部分は金属なので、ブラックマージンやメタルタトゥーを生じる原因になります。

審美治療では金属を全く使用しない被せ物を作成することができます。1つはオールセラミッククラウンと呼ばれる、すべてセラミックのみで作られた被せ物です。金属を使用していないので透明感や色調に優れるほか、歯ぐきとの馴染みが良いことなどがメリットです。

ただオールセラミックには金属による補強がない分、強度に劣るというデメリットがあります。しかし近年ではセラミックをさらに強固にしたジルコニアという材質が誕生し、セラミックの弱点であった強度を補えるようになりました。ジルコニアクラウンは咬む力が強い奥歯にも使用することがでるほか、金属を用いないブリッジも作成することができます。

審美治療の差し歯はメリットがいっぱい

審美治療の差し歯はメリットがいっぱい(まとめ)
ファイバーコアやオールセラミッククラウンに代表されるような金属を使わない差し歯は、歯ぐきの黒ずみを予防する以外にもメリットがあります。

1つは接着力が強く、歯や歯ぐきに馴染みやすいため虫歯になりにくいという点が挙げられます。そして最大のメリットは、金属アレルギーの方に安全な差し歯を提供できるという点でしょう。

審美治療ではそのほかにも様々な材質を用いた治療法があります。気になる方はぜひ当院スタッフにご相談ください。


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