目次
●アバットメント(支台部)
フィクスチャー(歯根部)の上に取り付けるセラミックなどの上部構造補綴物(人工歯)を被せるための部品になります。人工歯をしっかりと固定して上部構造物の支えとなる役割を担います。また、歯茎から歯が生えているように見え、自然な形に再現することができます。
●上部構造補綴物(人工歯)
歯の歯冠に相当する部分になり、人工歯冠ともいいます。上部構造補綴物は、基本的にはセラミックで作られます。強い衝撃によって破損してしまったとしても簡単に交換することができます。
インプラントの構造としては、天然の歯のような構造と似ているため、天然の歯のように噛むことができます。天然の歯の構造に関しては、歯茎の中の歯根と外にでている歯冠の2層から成り立っています。それに対して、インプラントは、歯根の代わりに人工歯根を使い、そこに歯冠の代わりになる人工歯冠を取り付けるため非常に似た構造になります。 インプラントは歯冠部分だけでなく、歯根の部分も復元するため天然の歯と同じような機能を再現 することができます。
1.カウンセリング
[レントゲン、口腔内写真撮影]
歯列全体のレントゲン撮影して、顎の骨や歯の状態を診査します。また、インプラント治療を施す部分のスペースや歯列の調和み問題ないかを判断します。
[CT撮影]
インプラント体の埋入部を撮影し、顎骨の断面の形状などを判断していきます。
[咬み合せチェック]
模型を作成して、咬み合せの診査装置に作成します。 歯列や咬み合せのチェックの他、最終的な上部構造の予想形態をワックスで作ったりします。 上記の診査などをもとに十分なカウンセリングを行った後、今後の治療計画などを説明していきます。
2.インプラント手術前の検査と治療
[虫歯・歯周病の治療]
インプラントの外科手術をする前に虫歯や歯周病を患っている場合は、手術をする前に虫歯や歯周病の治療を行います。治療を行わず、インプラントを埋入すると、インプラント体を埋入した部分の骨が歯周病に感染して、インプラント体が抜け落ちてしまう可能性を防ぐためです。
[血液検査など]
インプラント治療ができないような病気はほとんどありません。しかし、健康状態を歯医者に把握してもらう必要があるためです。 カウンセリングの結果から、インプラント体を埋入する部位や数インプラント体のサイズなどをきめていき治療方針を決定していきます。
3.インプラント埋入
歯肉の切開(局部麻酔を行います。)→インプラントを顎の骨に埋め込みます。
(ドリルでインプラント体を埋め込むための穴を開けてから埋め込みます。その後、インプラント体の頭の部分にカバーを装着します。)→歯肉の縫合→抜糸(縫合から約1週間程度で抜糸します。消毒のため通院する場合もあります。)
4.結合安定期間
抜糸完了後、仮歯や入れ歯などで歯の機能的な部分を補いながら、インプラント体が骨と結合するのを待ちます。骨の状態にもよりますが、約3ヶ月程度で安定してきます。
5.上部構造(人工歯)の装着
インプラントがしっかり骨に結合していることや咬み合せを確認できたら、人工歯を取り付けるためのアバットメントという上部構造の土台となるものを装着します。 インプラント体を埋め込んだ場所を確認後、歯肉を切開する。→アバットメント(上部構造)の装着→アバットメント(上部構造)周囲の縫合→歯肉が落ち着いたら、人工歯を作るための型取り→2週間程度で人工歯(仮歯)が完成しますので、完成後に装着し治療完了 。
6.メンテナンス
治療後は半年に一度のメンテナンスが必要です。インプラントを長く機能させるために正しい ケアをしていく必要があります。 上記の治療手順は一般的な一つの例になります。骨の状況などによって異なりますが参考にしてください。インプランとの治療期間は、最終的に歯が入るまで下顎で約3ヶ月程度、上顎で約4ヶ月が平均にかかる期間になります。また、インプラントに埋め込むための骨の量が十分にない場合は、骨量を増やす手術も必要になります。治療後のメンテナンスでは、咬み合せのチェックやインプラント周囲の歯周病予防などを行います。
[抜歯即時インプラント埋入法治療方法]
通常のインプラント治療方法ですと、抜歯をした後、約2ヶ月程度期間をあけてからインプラントを埋入しますが、抜歯即時インプラント埋入法では抜歯後その場でインプラントを埋入します。インプラントを埋入後、傷口を縫合して仮歯を装着します。
人工骨はやがて自分の骨となってインプラントと結合します。 数ヶ月後、骨とインプラントの結合を確認して、インプラント体に上部構造を取り付けます。その後の定期的なメンテナンスは必要になります。
抜歯即時インプラント埋入法治療は、抜歯後に治癒期間をあけることなく、インプラントを埋入するため、通常の治療方法だと必要な治癒期間がないため、約3~6ヶ月程度治療期間を短縮することが可能です。
[抜歯即時インプラント埋入法治療方法メリット]
●歯茎を切開する必要がない
抜歯した後にできた穴にインプラントを埋入するため、歯茎の切開をすることなく治療が
可能です。
●治療期間が短くなる
抜歯後すぐにインプラントを埋入するため、治療期間が大幅に短縮されます。治療期間が短くなることにより、通院の回数や患者様の肉体的、精神的な負担も軽減することができます。
●痛みや腫れが少なくて済む
切開せずに済むため腫れにくく抜歯の時の痛みとほとんど変わりません。
●骨を減らすのを防ぐ
通常のインプラント手術では、抜歯してから傷口が治るのを待っていたため、骨が減ってしまっていたが、抜歯と同時にインプラント埋入する場合、骨が減るのを防ぐことができます。
●審美的に優れている
歯肉を切開することがないため、弱らずに済みきれいな歯が残ります。
[抜歯即時インプラント埋入法治療方法デメリット]
●適用できない場合がある
「インプラントを埋め込むために十分な骨の量がある。」ことや「歯周病にかかっていない。」などの条件があり、患者様の顎の骨の状態によっては適用できない場合があります。
●歯ぎしりなどの影響がうけやすい
●高度な技術力が必要
抜歯即時インプラント埋入法治療は、高度な技術が必要になります。どこの歯科医院でも受けれる治療ではありません。技術力の乏しい歯科医師では失敗する可能性が高くなります。 抜歯即時インプラント埋入法治療は、治療期間が短くて済みますし、痛みも少なくてすむため患者様の負担が大きく減少される治療方法ですが、高い技術がないと失敗してしまいます。
抜歯が原因の感染によって失敗することもあります。抜歯即時インプラント埋入法は、患者様にとってメリットな部分が多いですが 通常の治療方法とメリット・デメリットを比べて、それぞれにあった治療方法を選ぶことがたいせつです。
●インプラントの周りが腫れてしまう
インプラントの周りに汚れが溜まってしまうと、歯茎が腫れて膿んでしまうインプラント周囲炎になってしまうことがあります。インプラント処置後は、必ず定期的なメンテナンスが必要になります。
対処法としては、被せ物を外して洗浄します。歯茎だけの腫れであれば、改善は早いですが、骨まで細菌が入っている場合は、歯茎を切開してインプラント周囲を洗浄する必要あります。
●インプラントが抜けてしまう
インプラント周囲炎は歯周病と同じことです。そのため、インプラント周囲炎が長く続いてしまうと インプラントが抜けてしまいます。日々のブラッシングやメンテナンスは怠らず行う必要があります。
対処法としては、インプラントが抜けてしまった後、骨が残っていれば、再度インプラント処置が可能になりますが、骨の吸収が大きく骨の量が少なくなっている場合は、インプラント処置の前に骨を作る処置が必要になります。
●インプラントの被せ物が欠けたり取れたりする
インプラント以外の周りの天然の歯は時間が経っていくとすり減ったり、動いたりしてきます。 しかし、インプラントの歯は骨と直接つながっているため動かないため、咬み合せの変化に対応できず被せ物が欠けたり、取れてしまったりすることがあります。
対処法としては、少しの欠けであれば調整が可能です。また、取れても付け直しが可能です。しかし、咬み合わせを定期的に確認して、周りの変化に合わせて調整することが必要になります。また、歯ぎしりや食いしばりが強い方に関しては、マウスピースで保護する必要がある場合もあります。
インプラントは機能的や審美的にも非常に優れていますが、定期的にメンテナンスや日々のブラッシングを怠ってしまうと、天然の歯と同じくダメになってしまいます。また、インプラント処置をしてすぐはなるべく慎重に使う必要があります。
上記で掲載したのはインプラント後の不具合が起こる一部分ですので、インプラント処置して不安に思ったことがあれば、歯医者さんにすぐに相談することをおススメします。また、インプラント処置を行うときは事前に色々な相談を歯医者さんにすることで不安な部分をなくすことが大切なことになります。
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