審美歯科

被せ物の選び方で虫歯や歯周病のリスクが変わる!

2018.01.4
歯に被せ物をしなければならなくなった時、歯医者さんでどの材質を選ぶか聞かれることになります。たいていの歯医者さんでは、いくつかの材料を取り揃えていますので、「どれが一番いいんだろう?」と迷ってしまうかもしれません。被せ物の材料にはそれぞれ特色があり、どれを選ぶかで見た目が変わってくるのはもちろんですが、実はその後の虫歯や歯周病のリスクまで変わってくるのです。被せ物をどの材質にするか迷っている人は、ぜひこれを読んで、選ぶ時の参考にしてみてください。

皆さんは被せ物、どんな基準で選びますか?

皆さんは被せ物、どんな基準で選びますか?
皆さんは被せ物を選ぶ時、何を基準に選びますか?

●値段の安さ(経済性)
●見た目のきれいさ(審美性)
●長持ちするか(耐久性)
●体に優しいものか?(生体親和性)

選ぶ基準となるものは、だいたい上のどれかになるかと思います。日本では、経済性を最優先して保険の材料にする人が多いように思います。しかし、残念ながら一番安い保険の材料は、あまり歯や歯茎にとってよくないばかりか、耐久性の面でも、体への優しさ、という点でもあまり好ましいとは言えないのです。

歯科で使用する材料は、主に金属、プラスチック、セラミックのいずれかになります。それぞれの材料を選んだ場合の問題点などについて見てみましょう。

被せ物に保険の材質を選んだ場合

●被せ物が金属の場合の問題点
現在日本の歯科の保険診療で使われている金属は、金属アレルギーを起こすことがあるということで問題になっています。また、金属が唾液に触れるとイオン化して唾液中に溶け出し、歯茎を黒く着色させる「メタルタトゥー」の原因にもなっています。さらに、金属は劣化し、錆びることがあること、そして、歯をくっつけているセメントが唾液中に溶け出し、その部分に細菌が入り込むことで、虫歯ができやすい難点があります。また、金属の表面には傷がつきやすく、毎日歯ブラシをかけていることなどにより、傷が無数について、細菌がその部分に溜まりやすくなることで、歯周病を引き起こしやすくなります。

●被せ物がプラスチックの場合の問題点
被せ物がプラスチックの場合というのは、主に前歯や小臼歯(前から4、5番目の歯)ということになります。まず、プラスチックというのは、強度的にあまり強くない、ということが挙げられます。その理由から、一番奥にある大臼歯ではプラスチックの被せ物をすることはありません。

また、傷がつきやすいというのもあります。これはお弁当箱やプラスチックのお皿などを想像していただくとわかりやすいですが、ついてしまった汚れはなかなか落ちにくいですよね。しかも長く使っていくと、色素が沈着して落ちなくなってしまいます。これと同じようなことが被せ物のプラスチックにも起こってしまいます。これはプラスチックに傷がつきやすいために起こるものです。この傷には色素だけでなく、数多くの細菌も絡みついてしまいます。そのため、虫歯や歯周病にかかりやすくなると考えていいでしょう。実際、ブラスチックの被せ物をしている歯茎というのは、常に赤く炎症を起こしていることが多いものです。

被せ物にセラミックを選んだ場合

被せ物にセラミックを選んだ場合
セラミックというのは保険外の材料で、陶器の材質を使ったものです。陶器はお皿で考えてもらうとわかりやすいですが、汚れがついても落ちやすく、何年経っても変色のない、艶のある美しさを保っていますよね。これを歯に応用したものが歯科用セラミックなのですが、セラミックには次のような特長があります。

●セラミックの特長

1.見た目がきれい
セラミックは透明感に優れ、色の調整が細かくできるため、天然の歯のような美しさを実現することができます。また、傷がつかないため、変色することもなく、年月が経っても変わらない美しさを保つことができます。

2.耐久性に優れ長持ちする
金属やプラスチックのように変質、劣化することがないため、長く安定した状態を保つことができます。

3.虫歯や歯周病になりにくい
歯との適合がよく、歯とセラミックの間にすき間があくということがないため、虫歯になりにくい特長があります。また、セラミックには傷がつきにくいため、歯垢が溜まりにくく、歯茎にも炎症を起こしません。

4.生体親和性に優れる
セラミックは材質として安定しており、成分が溶け出したりすることもないため、体に悪影響を与えることもありません。もちろん金属を含んでないため、金属アレルギーの人にも安心です。

セラミックは保険がききませんので、比較的高額にはなってしまい、経済性としては他のものに劣りますが、審美性、耐久性、生体親和性に非常に優れた材質であると言えるでしょう。

まとめ

歯科材料の場合、値段はその材質の良さに比例すると考えた方が良いでしょう。しかも値段が高いものはそれだけ長持ちし、虫歯や歯周病にもなりにくい、ということを考えると、長い目で見た場合、頻繁にやりかえてだんだんと歯が悪くなってしまう事の多い保険材料と比べて、決して値段が高いとは言えないのです。皆さんも被せ物をする際は、その辺をよく考えて慎重に選ぶようにしましょう。


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