審美歯科

歯に自信がある人は要注意!歯が強くても歯茎が強いとは限らない

2018.10.22
世の中には歯が強い、つまり虫歯になりにくい人というのは確かにいます。そのような人は歯磨きが適当でも虫歯ができず、はたから見ると非常に羨ましく感じられるものです。特に、歯磨きを頑張っているのにもかかわらず虫歯が多い人から見ればなおさらです。しかし、このようにもともと歯が強い人というのは、油断してお口のケアが不十分になりやすく、それが積み重なると思わぬ結果を招くこともあるので、注意が必要です。

歯が強いのと歯茎が強いのは別物

歯が強いのと歯茎が強いのは別物
歯が強い人は、大して念入りに歯磨きをしなくても虫歯にならないので、ケアを怠りがちな傾向があります。若いうちはそれでも問題が起こらないでしょう。しかし、歯の汚れをしっかりと落としていないと、歯茎や歯を支えている骨が破壊される「歯周病」を引き起こしやすくなるのです。いくら歯が強くても、歯を支えている骨や歯茎がやられてしまっては、歯を長く残すことはできません。虫歯も歯周病も細菌による感染症ですが、虫歯は虫歯菌が、歯周病は歯周病菌が引き起こす、というように、全く違う病気です。歯が強いからといって歯を支える組織まで強いとは限らないのです。

歯が強いと思っている人が歯周病で歯を失いやすい理由

●歯のケアが適当になってしまう
歯が強くて虫歯になりにくい人は、「自分は歯が強い」という思い込みにより、歯磨きがいい加減になったり、中には歯磨きをあまりしない人もいます。若いうちにはそれでも問題なく過ごせるでしょうが、年をとるにつれ、体の抵抗力は落ち始め、だんだんと状況が変わってきます。歯磨きがおろそかになって歯の周りにたくさん細菌が残っている状態が続くと、歯周病菌に勝てなくなってしまい、歯周病を発症しやすくなります。

●歯医者に滅多に行かない
虫歯になったことがないような歯の強い人は、歯のトラブルが起こったことがほとんどないため、歯医者に行くきっかけがないまま大人になってしまうことも珍しくありません。そのため、歯石が付いていてもそのままクリーニングをせず、何十年も放置されたままになってしまっている場合もあります。歯石は歯と似た色をしていますので、歯石を歯の一部だと勘違いしてしまっている場合も少なくありません。

歯周病はかかり始めの段階で対処すれば治癒、もしくは進行をストップさせることができますが、何十年も放置されてしまうと重度の歯周病に進展してしまいます。その点で言うと、虫歯ができやすい人の方が、歯医者に通うことが多くなるため、歯周病をコントロールしやすいとも言えます。

●歯周病は痛みなどの症状を感じにくい
歯周病の特徴として、「痛みなどの症状を感じにくい」と言うものがあります。また、歯周病の多くは慢性的にじわじわと何十年もかけて進んでいきますが、特に初期から中期にかけてはあまり痛みを感じることもありませんので、知らないうちにだんだんと悪化してしまいます。歯がぐらついてきたり、歯茎が大きく腫れて痛くなったり、というような症状を出す頃には、すでに重度の歯周病となっていますので、この時点で歯医者に行ったとしても、もはや打つ手立てはなく、全部一気に抜歯になってしまうことすらあります。

虫歯の歯の失い方、歯周病の歯の失い方

虫歯の歯の失い方、歯周病の歯の失い方
虫歯も歯周病も歯を失うことにつながる病気ですが、両者の歯の失い方の傾向には違いがあります。虫歯の場合、単独の歯で進みますので、歯を失う場合には当然一本ずつ失っていきます。しかし、歯周病の場合は、歯を支えている骨が広い範囲で下がっていくことが多いため、数本の歯が一気にぐらつき、一気に何本も抜歯となることがよくあります。歯を失うことはショックなものですが、それが一気に何本も、となるとショックは何倍にもなります。歯の痛みに関しては虫歯の方が強く、アグレッシブだと言えますが、歯の失い方に関しては歯周病の方がアグレッシブで恐ろしいものなのです。

歯の自信過剰は禁物

歯が強いと思い込んでいると、自分の歯は他の人の歯よりも丈夫なんだという油断が生じ、歯のケアがおろそかになりがちです。そしてそのケア不足がいずれ歯周病で歯を失うきっかけになっていきます。それゆえ、子供の頃から虫歯ゼロで歯が健康な人も、決して油断をしないようにしましょう。歯周病というのは生活習慣病の一つとして数えられており、ほとんどの場合、予防ができる病気です。歯が強い人が歯周病にかからなければ、もうこれ以上素晴らしいことはありませんので、ぜひ、虫歯ゼロ、歯周病ゼロを目指していきましょう。

虫歯、歯周病を防ぐためには、普段の歯磨きを丁寧に行うこと、そして定期的に歯科医院を受診し、検査、クリーニングを行うことが欠かせません。これさえきちんと行っておけば、虫歯や歯周病で苦しむ可能性はかなり低くなり、一生自分の歯で噛み続けることも夢ではありません。


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