まずはホワイトニングの作用について解説し、使用する薬剤の違いやどんな時にどちらを使ったほうが良いのか等について解説します。
●なぜしっかり歯磨きしても歯が黄色く見えるの?
歯の色が黄ばんで見える理由としては大きく2つ考えられます。1つは飲食物の色素が歯の表面のエナメル質に「ステイン」という汚れとして残る状態にあるもの。2つ目は生まれつき歯の内部にある「象牙質」という組織の色が濃く透けて見えていることです。これらの黄ばみはどんなに一生懸命歯磨きしても落とすことが難しいため、漂白効果のあるホワイトニング法をおこなうことで歯をより白く導きます。
●過酸化物で歯が白くなるメカニズム
歯の表面は「エナメル質」という硬くて透明な組織で覆われています。過酸化物を塗布することで、まずはエナメル質表面に沈着している有機物質を分解して除去します。また、エナメル質の表面は「エナメル小柱」という角柱の集合体で、その表面に過酸化物を作用させると表面が凸凹の状態になります。この構造は歯に当たる光を乱反射させ、すりガラスの表面と同じように白く濁った状態となり、下の層にある象牙質の色が透けにくくなり白く見えるようになるのです。
●使用される過酸化物
歯を白くするために使用される過酸化物として、「過酸化水素」と「過酸化尿素」が用いられています。これらはお口の殺菌消毒用にも使用される成分で、米国食品医薬品局において安全が保障されている成分です。ただし、濃度が高くなれば刺激も強くなりますので、取り扱いには注意が必要となってきます。
一般的には、歯科医院でおこなわれる「オフィスホワイトニング」には過酸化水素が用いられ、自宅でおこなう「ホームホワイトニング」には過酸化尿素が用いられます。歯を白く漂白させる作用としては同じですが、それぞれの特性に合わせて使いわけがおこなわれているのです。
●過酸化水素の作用
オフィスホワイトニングで用いられる「過酸化水素」は、35%前後の高濃度のものを使用することが多いです。強い漂白力を持ち即効性があるため、1度の施術でも白くなったと感じる方が多いようです。ただし高濃度ゆえ、皮膚に付着すると痛みを伴うことがあるため、取り扱いが難しいことから歯科医院での取り扱いとなっています。
●過酸化尿素の作用
ホームホワイトニングで用いられているのは「10%過酸化尿素」です。酸化する過程で自然分解により過酸化水素と尿素に分かれて漂白します。低濃度であるため、痛みを伴うというような心配もありません。ただし作用が緩やかなぶん、毎日持続して施術することで徐々に効果を発揮します。
●早く白い歯を手に入れたい場合は「オフィスホワイトニング」
結婚式や面接などの予定があり、1日でも早く歯を審美的に白くしたいとお考えの方は過酸化水素を用いたオフィスホワイトニングを受けられることをオススメします。ただし即効性があるぶん後戻りも早いと言われていますので、大切な予定がある場合は施術時期などを考慮したり、色の付きやすい飲食物を避けて再沈着を予防するなど、施術後のケアにも気を配りましょう。
●自宅でマイペースにホワイトニングしたい場合は「ホームホワイトニング」
自分の好きな時間におこなうことができるので、忙しくて歯科医院に通って施術を受けるのが難しい方や自分のペースでゆっくりでも良いという方は過酸化尿素を用いたホームホワイトニングがオススメです。
徐々に歯の構造を変化させるため、後戻りもゆっくりで白さの持続性も長いというメリットがあります。ただし、毎日施術を継続することが必要となるため、毎日一定の時間が確保できない方や飽き性の方には難しいかもしれません。
作用としては過酸化尿素の方が刺激も作用も緩やかなため、ホームホワイトニング用の薬剤に使用されています。即効性を求める人には不向きなため、過酸化水素を用いたオフィスホワイトニングがオススメです。それぞれの使用目的に合わせてホワイトニング法を選択するようにしましょう。
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