審美歯科

差し歯の周りの歯茎が黒いメタルタトゥー、こうすれば防げる!

2018.10.16
差し歯の周りの歯茎が黒く変色している人を、皆さんも一度は見たことがあると思います。テレビに出てくる有名人でも時々目にします。せっかく歯に近い色の歯を入れたとしても、周囲の歯茎が黒くなってしまっては、差し歯とわかってしまいますし、残念ですよね。おそらく、「差し歯を入れると歯茎が黒くなってしまうのは仕方がない」と思っている人もいるかもしれません。しかし、差し歯でも歯茎が黒くならないようにすることは不可能ではないのです。

差し歯の周りが黒い、それはメタルタトゥー

差し歯の周りが黒い、それはメタルタトゥー
差し歯を入れた周囲の歯茎が黒くなっている状態、これはメタルタトゥーと呼ばれます。メタルタトゥーは「金属の入れ墨」という意味であり、その意味する通り、金属によって黒くなってしまっていることを言います。歯科で使われている金属、特に保険診療で使用される金属は、唾液に触れるとイオン化して唾液中に溶け出してしまいやすく、その影響で歯茎が黒くなるとされています。また、差し歯の土台部分に使用される金属を削る際、金属の切削片が歯茎の中に入り込み、それが酸化して起こることも原因だと言われています。いずれにしても、一度歯茎に沈着してしまった黒い着色は自然に消えることはありません。

メタルタトゥーは材質次第で防げる

差し歯にしたら絶対にメタルタトゥーができてしまうというわけではありません。日本では、差し歯は保険で入れると安価で入れることができるため、保険の差し歯を入れている人が大多数だと言えるでしょう。そのため、「差し歯にする=歯茎が黒くなってしまう」と思われがちですが、差し歯の材質の選び方によってはメタルタトゥーを防ぐことが可能です。

●メタルボンドクラウンを入れる
一般的な歯科金属というのは、単一種類の金属を使用しているわけではなく、いろいろな金属が混じり合った「合金」を使用しています。そして、その合金の中に含まれる「銀」が歯茎を黒染させる原因となっています。

保険の差し歯の被せ物部分は、フレームと呼ばれる裏打ちの金属(金銀パラジウム合金)に表だけプラスチックが貼り付けてある状態になっています。そして、このフレームの中に多くの銀が含まれており、それが歯茎を黒くしてしまう一因になっています。

一方、メタルボンドクラウンというのは、保険外の差し歯の一つで、「陶材焼き付け冠」とも呼ばれていますが、金属のフレーム(裏打ち)の上にセラミックを焼き付けてある構造になっています。メタルボンドクラウンは自由診療で製作されるため、裏打ちの金属に使用する種類は「絶対にこれ」と決められているわけではありません。一般的に使用されるメタルボンドの金属は貴金属と呼ばれるもので、メタルタトゥーを作りにくい材質です。しかし、メタルボンドの金属と言っても一種類ではなく、様々なものがあり、中には銀を多く含み、メタルタトゥーを起こしてしまう場合もあるので注意が必要です。

●オールセラミッククラウンを入れる
オールセラミッククラウンというのは、オール(全てが)セラミック(陶器の)クラウンということで、金属を一切使用していません。そのため、メタルタトゥーを起こす要素はゼロで、歯茎の色を変色させてしまう心配はありません。

●ファイバーコアを入れる
差し歯というのは、歯の歯根に「差している」状態の歯のことを言います。現在作られているほぼ全ての差し歯は、「コア」と呼ばれる差してある土台の部分と、「クラウン」と呼ばれる被せ物の部分の二つのパーツから成っています。

そして、コアの部分の材料によってもメタルタトゥーが出るかどうか、というのが左右されます。コアには大まかに分けて、金属を使用するものとしないものがあります。また金属でも、保険のものと自費のものでは金属の組成が異なります。保険のものは銀合金と呼ばれるもので、銀の含有量が非常に多く、メタルタトゥーを非常に作りやすい材質です。一方、自費の場合の金属のコアは金合金で、銀の含有量は少ないものの、全く含まないわけではないので、メタルタトゥーを完全に防げるわけではありませんが、保険のものよりはかなりメタルタトゥーを作りにくいと言えるでしょう。

金属を使用しないコアとして、保険外治療の「ファイバーコア」が挙げられます。ファイバーコアはグラスファイバーを使用したコアで、金属を一切使用しません。そのためメタルタトゥーを起こす心配は全くありません。

メタルタトゥーができてしまった場合の対処法

メタルタトゥーができてしまった場合の対処法
メタルタトゥーができてしまった場合、どんなに歯磨きをしたとしても歯茎の黒ずみは取れません。そのような場合の対処法として、黒変してしまった歯茎をメスで切り取る方法やレーザーで取り除く方法があります。

メタルタトゥーがあるだけで、歯茎が不健康に見え、老けて見える原因にもなります。差し歯を入れる際には、治療を受ける前に、それぞれの材料について、メタルタトゥーを起こす可能性があるかどうか、担当歯科医師によく確認しておくことをおすすめします。


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