現在の日本ではそれほど歯並びがその人の評価につながることはありませんが、世界の先進国では、歯並びでその人の社会的なステータスが判断されてしまうことも多く、ビジネスにおいて不利になってしまう、ということも珍しくありません。そのように判断されてしまう理由の一つとして、「悪い歯並びを整えていないのは、自分の健康管理がしっかりできていない」というようにみなされてしまうということが挙げられます。歯並びと体の健康に何の関係があるのだろう?と思うかもしれませんが、実は歯並びと体の健康には深い関係があるのです。
●歯のトラブル、顎のトラブルを起こしやすくなる
歯並びが悪いと、歯磨きがしっかりとできなかったり、噛み合わせの力が特定の歯に強くかかったりすることで、虫歯や歯周病にかかるリスクが通常より高まります。虫歯や歯周病は歯を失う2大原因ですので、歯並びが悪いことが歯を早く失わせてしまうことにつながってしまいます。
また、歯並びが悪いと、噛み合わせのバランスが悪くなり、顎の関節や筋肉にも影響が出てきます。噛み合わせのアンバランスによって、口の開閉時に顎の関節から雑音がするようになったり、痛みを感じたり、口が開きづらくなることもあります。また、顎全体が痛くなることもあります。そしてさらには、顎関節症が原因で、頭痛や肩こり、首の痛みなども起こすことが珍しくなく、この他にも様々な不定愁訴で悩まされることが多くなります。
●胃腸に負担がかかる
歯並びによっては、物がうまく噛み砕かれないまま胃に流れてしまい、胃や腸に大きな負担をかけてしまうことがあります。
●肥満・メタボリックシンドロームになりやすくなる
歯並びが悪いと、よく噛むということができなくなり、食べ物をよく噛まないままどんどん飲み込み、早食いしてしまいがちです。早食いすると脳の満腹中枢が働く前に食べすぎてしまい、肥満やメタボリックシンドロームにかかりやすいとされています。
●全身疾患を起こすリスクが高まる
歯並びが悪いと虫歯や歯周病にかかりやすくなりますが、特に歯周病の原因菌が出す毒素は危険なことで知られています。歯周病は一昔前までは「歯を失う病気」としてのみ恐れられていましたが、最近ではそれだけでなく、歯周病が出す毒素が血管を巡って全身に回り、体のあちこちで悪さをし、病気を引き起こすことがわかってきました。例えば心筋梗塞や狭心症のような心臓疾患、脳梗塞、糖尿病、アルツハイマー型認知症、低体重時出産、早産などが代表的です。また、呼吸器の方に歯周病菌を誤嚥してしまうことで誤嚥性肺炎を起こすことも知られています。
さらには、歯並びが原因で舌の位置が下がってしまう「低位舌」の状態を引き起こし、睡眠時無呼吸症候群の原因になってしまうこともあります。
●精神的な影響
歯並びの悪さがコンプレックスとなり、内向的な性格になってしまったり、歯並び、噛み合わせが悪いせいでイライラしやすくなったり、集中力に欠けてしまうというようなことも起こります。また、歯並びの悪さからくる体調不良により気分的にも落ち込みやすくなったりします。精神と体というのは密接に関連しあっていますので、精神的なストレスが多いと体の病気を引き起こしやすくなります。
歯並びが悪いと以上のような体への悪影響が起こりやすくなります。長く自分の歯を健康に保ち、健康な体を保つ上でも、歯並びが整っていることはとても重要だと言えます。もし歯並びが悪くても、歯並びは何歳からでも整えることが可能です。歯並びが悪い人は、たとえ見た目が気にならない場合でも、健康上の観点から矯正治療をし、歯並びを整えておいたほうが良いでしょう。気になる人は一度歯科医院で矯正治療について問い合わせてみることをおすすめします。
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