審美歯科

「アマルガム」ってどんな銀歯?外したほうがいいの?

2018.03.10
口の中に随分昔に入れた黒っぽい銀の詰め物がある場合、それは「アマルガム」と呼ばれる銀歯の可能性があります。アマルガムが入っていると周囲の歯まで黒っぽく見えてしまうため、見た目が気になってしまう人も多くいるようです。そのため、アマルガムの部分を審美性の高い、白いものに替えたいという人は後を絶ちませんが、アマルガムを外す場合というのは他の銀歯を外す場合とは違い、ちょっと注意が必要になります。今回は、アマルガムというのはどのような銀歯なのか、現在アマルガムがあまり使用されなくなった理由とはどういうものなのか、また、アマルガムを外す際の注意点などについて解説していきます。

アマルガムてどんな銀歯?日本であまり使用されなくなった理由とは

アマルガムてどんな銀歯?日本であまり使用されなくなった理由とは
アマルガムというのは水銀と他の種類の金属との合金を意味しています。歯科用で使うアマルガムを正式には「歯科用アマルガム」と呼びますが、通常は単に「アマルガム」と呼ばれることが多いようです。アマルガムの歴史は古く、1826年にフランスで使われだしたと言われており、150年以上も使用され続けてきた、歴史の古い歯科材料です。日本でも数十年前までは虫歯治療の中心として使われてきた材料であり、頻繁に使用されてきた信頼性の高い材料であるとも言えます。そのため、現在でもアマルガム治療が中心になっている国というのはあるようです。しかし、アマルガムは水銀を含んでいる関係上、環境に対する問題があること、そして、歯の色をしたプラスチック素材やセラミックという優秀な材料が出てきたこともあり、日本では現在、ほとんど使われることはなくなりました。

アマルガムのメリット・デメリット

アマルガムのメリット・デメリットは次のようなものですが、現在日本ではそのデメリットゆえにほとんど使われなくなってきました。

●アマルガムのメリット
・操作が簡単である
・材料費が安い
・歯髄(歯の神経部分)に対して刺激性がない
・強度に優れる
・強い抗菌性があり、虫歯の再発が少ない

●アマルガムのデメリット
・審美性に劣る
・水銀の毒性の問題がある
・金属イオンが唾液に溶け出す性質がある
・熱を伝えやすい
・歯に接着しない
・噛み合わせの力によって変形しやすい

アマルガムを外した方がいい理由

アマルガムを外した方がいい理由
アマルガムは銀色をしていますが、だんだんと黒っぽくなっていくため、審美性が悪く、そういった意味でも現在は需要がほとんどありません。また、水銀が環境へ及ぼす影響を考え、歯科医師会もアマルガムの廃絶に向けて取り組んでいます。そのため、これからアマルガムが詰められる、というような状況はほとんどないでしょうが、すでにアマルガムが入っている、という人はまだまだいることでしょう。アマルガムは水銀を含んでいることから、アマルガムの危険性に関しては賛否両論あり、口の中では水銀は安定した状態なので大丈夫、という意見もありますが、多くの専門家がその危険性を指摘しています。具体的には次のような体への悪影響が指摘されています。

●アマルガムが体に引き起こす悪影響

1.アマルガムの水銀が体に蓄積する
アマルガムに含まれる水銀は、体内へ蓄積することがわかっています。お口の中には飲食物が毎日入ってきますし、噛むという刺激も加わり、水銀がだんだんと溶け出して体のあちこちに蓄積し、様々な体の不調を起こしている可能性も指摘されています。水銀は体にとって有害な重金属のうちでも特に神経毒性が高く、頭痛やうつ病、視力・嗅覚の低下、慢性疲労、イライラ、四肢の痺れなどを起こしやすくなるとも言われています。

2.金属アレルギーを起こす可能性
現在保険治療で使われている銀歯もそうですが、金属を口の中に入れていることで、金属アレルギーを引き起こすことがあります。歯科金属で起こる金属アレルギーは体のあちこちに皮膚症状を出すことが多く、非常に分かりづらいのも難点です。

アマルガムを外す際の注意点

アマルガムが体へ起こしうる影響を知ると、すぐに外してしまいたくなるかもしれません。ですが、アマルガムは外す際に大変注意が必要になってきます。アマルガムは、取り外すために削る時、水銀が蒸気化するため、安易に削って外すことは控えなければなりません。

アマルガムを外してもらう場合には、ラバーダムという装置をお口に取り付け、削られることによって出た蒸気化した水銀を吸い込まないように対策してくれる歯科医院でやってもらうようにしましょう。実際、アマルガムを削る方の立場である歯科医師も蒸気化した水銀を吸い込んでいるとも言われ、アメリカでは半数の歯科医師が水銀中毒になっているという調査報告もあります。それゆえ、アマルガムを外す際には、自分が吸い込まないように十分に注意しなければなりません。特に妊娠中、授乳中の場合は無理にアマルガムを外すのを急がず、出産、授乳が終わってからアマルガム除去を受けるようにしたほうがよいでしょう。


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