審美歯科

セラミックやインプラントの歯も食べ物や飲み物で着色する?

2018.09.16
歯に着色すると、なかなか取れにくいのでとても気になってしまうものです。ですが、食べ物や飲み物というのは毎日口にするものですので、いつの間にか着色汚れが付いてきてしまいます。この着色はセラミックやインプラントの歯の場合にも起こってしまうものなのでしょうか?今回は、歯に着色汚れがついてしまう原因とはどういうものなのか、セラミックやインプラントのような人工歯でも着色汚れがついてしまうものなのか、ということなどについて見ていきたいと思います。

歯に食べ物や飲み物の色がついてしまう原因

歯に食べ物や飲み物の色がついてしまう原因
歯に食べ物、飲み物の色素が沈着してしまう原因とは一体何なのでしょうか?これは、歯の表面を覆っている唾液由来のペリクルと呼ばれる薄い膜に、食べ物や飲み物に含まれる着色の元となる成分がくっつくことで起こるとされています。ペリクルは歯にダメージを与える酸から歯を守ってくれている、本来ありがたい物なのですが、色素を沈着させてしまう弱点もあります。この色素沈着が蓄積することにより、だんだんと歯が黄ばんで見えるようになったり、着色として目立つようになっていきます。

また、年齢を重ねるにつれ、多かれ少なかれ、歯の表面にはマイクロクラックと呼ばれる細かな亀裂が入るようになります。色素はそのような亀裂にも入り込みますので、それによってもより一層着色はしやすくなると言えるでしょう。

セラミックのような人工歯にも着色する?

天然歯の場合にはペリクルが歯を着色させる大きな原因であることがお分りいただけたと思います。では、人工歯の場合はどうでしょうか?人工歯といっても、保険で作るプラスチックの歯、保険がきかないセラミックの歯では着色の仕方に大きな違いが出てきます。

保険のプラスチックの被せ物で最も一般的な「硬質レジン前装冠」の場合だと、プラスチックという性質上、表面に傷がつきやすく、それゆえ着色しやすいという難点があります。また、プラスチック自体に吸水性があるため、食べ物や飲み物の色素が沈着しやすく、また一度黄ばんでしまうと黄ばみはほぼ改善しません。

一方セラミックは保険がききませんが、セラミックは表面に傷がつきづらく、吸水性もないため、天然歯に比べても色がつきづらいという特徴を持っています。

インプラントにも着色する?

インプラントの人工歯の場合はどうでしょう?インプラントは大まかに、人工歯根の部分と土台の部分、そして被せ物の部分に分けられます。被せ物の部分が歯茎から外に出ている部分になりますが、これはほとんどの場合、特に前歯の場合だとセラミックになります。そのため、セラミックの差し歯と同様、お茶やコーヒー、赤ワインを飲んでも、そしてカレーなどの色のつきやすいものを食べたとしても非常に着色しにくいということが言えます。

着色させたくない場合にはセラミックの歯を選ぶのがベスト

着色させたくない場合にはセラミックの歯を選ぶのがベスト
保険の硬質レジン前装冠の場合、かぶせる時点で周囲の歯の色と合わせて作るため、最初の頃は周囲の歯となじみます。しかし、年数が経ってくるにつれ、黄ばみが目立つようになり、周囲の歯と色の差が出てきて審美的に問題が出てきてしまいます。もし色の違いを何とかしたい、ということになると、ホワイトニングなどの方法でも白くすることができないため、一度削り取って新しく歯を入れ直す必要性が出てきます。

ですが、セラミックの歯を選んだ場合だと、年数が経っても着色することがほとんどないため、美しい見た目を保ち続けることができます。つまり、歯自体に問題が出たり、セラミックが壊れたり、というようなことが起きない限り、セラミックを取り替える必要もありません。

セラミックは着色しにくいだけでなく、歯垢も付きづらく、健康的

セラミックは着色しにくいだけではありません。セラミックは傷がつきにくいことから、歯垢がつきにくく、それゆえ虫歯や歯周病になりにくい、という素晴らしい利点があることも忘れてはいけません。歯垢を寄せ付けにくいので、口臭が出にくいという特長もあります。

一方、保険のプラスチックや銀歯は、表面に細かい傷がつきやすく、それにより詰め物や被せ物との隙間から虫歯を作りやすかったり、歯茎に炎症を起こしやすい、つまり歯周病になりやすいという欠点があります。また、細かい傷の部分に細菌が繁殖し、口臭の原因になりやすいというのも残念ながらあります。

セラミックはこのように歯や歯茎に優しいというだけでなく、生体親和性の高い材料、つまり生体に害を及ぼすことがないというのも大きな利点です。お口の中は常に唾液によって濡れている状態で、食べ物によって作られる酸や様々な温度変化にも晒されています。例えば銀歯の場合、このような環境では金属イオンが唾液中に溶け出し、体内に吸収されて金属アレルギーを起こすことがありますが、セラミックの場合はこのようなことは起きません。

このように、人工物は材料によって大きく性質が異なるため、歯に人工物を入れる際は、このようなことも踏まえ、よく考えた上で材料を選択することをおすすめします。


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