審美歯科

差し歯の土台にオススメ、オールセラミックと相性のいいファイバーコアとは

2018.03.28
差し歯というのは、歯に差してあるような状態になっているクラウン(被せ物)のことを言います。差し歯は通常一つの塊ではなく、土台の部分とクラウンの部分を別々に作り、装着しますが、この二つの部分をひっくるめて「差し歯」というように呼ばれています。そのため、差し歯を入れる際には、コアと呼ばれる土台の部分とクラウンの部分のそれぞれに関して材料を選ぶ必要性が出てくるのですが、土台に関しては表に見える部分ではないことから、クラウンの材質を選ぶよりは軽視されがちです。しかし、土台選びというのも非常に重要な要素であり、どのような材質を選ぶかによって実は見た目にも影響してきます。今回は差し歯のコアとはどのようなもので、どのような種類があるのか、審美的なクラウンとして代表的なオールセラミックに合うファイバーコアの特徴や利点についてご紹介していきます。

差し歯のコア(土台)とは

差し歯のコア(土台)とは
差し歯の土台のことをコアと呼んでいますが、これはどのような時に必要になるかというと、そのままクラウン(被せ物)をかぶせた時に十分な支えがなくて外れてしまう恐れがある時です。つまり、具体的には、大きな虫歯や歯の破折によって歯が大きく失われていて歯の高さがあまりない場合です。このような場合には、そのまま被せたとしてもすぐに取れてしまう可能性があるため、歯根部分に心棒のようなコア(土台)を入れて、それによってクラウンがその部分にしっかりと維持されるようにします。

差し歯のコア(土台)の種類

差し歯のコアの種類として、歯科治療で一般的に使われるものには次のようなものがあります。

<保険診療で使われるコア>
●メタルコア
保険診療で最もよく使われるのは、銀合金でできたメタルコアです。安価で強度に優れていますが、硬くて弾性がないため、歯を破折させてしまったり、金属イオンが唾液中に溶け出して金属アレルギーの原因になったり、溶け出した銀イオンのせいで歯茎が黒っぽくなってしまう「メタルタトゥー」の原因になりやすい、クラウンの材質によっては金属が透けてしまう、という問題点があります。

●レジンコア
こちらも保険がきくタイプのコアで、金属のネジ状のピンを差し込んで作ったプラスチック(レジン)のものになります。安価で、弾性があるため歯を破折させにくい、金属の溶け出しによるメタルタトゥーが起こらない、という長所がありますが、強度に欠け、金属のネジが透けることで審美性の問題が起こる場合があります。

<自由診療で使われるコア>
●ゴールドコア
保険がきかない自由診療で使われるコアで、金属を使用したタイプのものです。保険のものとは違いゴールドという貴金属を使用しているため、金属アレルギーが起こりにくく、金属が唾液に溶け出しにくいためメタルタトゥーも起こりにくい利点があります。ですが、金属という弾性のない硬い材質を使っているため、やはり歯根を破折させるリスクがあること、そして保険が効かないため費用が高くなることが欠点として挙げられます。

●ファイバーコア
ファイバーコアは、グラスファイバーでできたピンとプラスチック(レジン)を組み合わせたものです。金属を一切使用しないため、金属アレルギーの心配、メタルタトゥーを起こす心配がありません。また、歯と同じような硬さや弾性を備えているため、金属のコアと違って歯根を破折させるリスクが非常に低く、歯の色と近いため、透明感に優れた審美性の高いクラウンをかぶせても見た目を損ねてしまうことがありません。欠点としては、保険が効かないので費用が余計にかかるということが挙げられます。

オールセラミックにはファイバーコアが最適

オールセラミックにはファイバーコアが最適
オールセラミックは金属を一切使用しない、全てセラミックでできた、最も天然歯に近い見た目を再現できるクラウンで、クラウンの中で最も審美的な治療法だと言えるでしょう。オールセラミックの歯は金属を含まないため、金属アレルギーを起こさず、メタルタトゥーを作ることがありません。また、歯との馴染みも良いので虫歯の再発をおこしにくいですし、材質的にも傷がつきにくく劣化しにくいので、年数が経っても変色せずに美しさを保つことができ、歯茎にも炎症を起こしにくい、という非常に数多くの利点を備えています。

このようなオールセラミックの利点を最大限に活かすためには、内部にあるコアの選択は非常に重要になってくると言えます。ファイバーコアは歯と同じような色をしているため、オールセラミックの優れた透明感を邪魔することがありません。なおかつ十分な強度を備えていて、金属のように腐食して体に害を及ぼすこともありません。また、歯と弾性も似ていて馴染みも良いため、歯を破折させることもありません。

近年では、歯科金属アレルギーなどの金属の害が問題になってきているという背景もあり、金属を使用しない材料でも優れた強度を持つものも多く出てきています。皆さんも是非、差し歯を入れる際の参考にしてみてください。


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