の頭文字を取ったもので、日本語にそのまま訳すと、「専門的機械歯面清掃」となります。つまり、歯科医師や歯科衛生士のような専門家が機械を使って歯の表面を清掃する、ということですが、それだと歯石取りやヤニ取りも同じではないか、と感じてしまいますね。
ですが、PMTCの定義は、「歯科医師、歯科衛生士が行う歯科予防処置であり、プラークを選択的に除去すること」となっています。つまり、「専門家によるプラーク(歯垢)が付いているところ(虫歯や歯周病のリスクが高いところ)の徹底的な清掃」ということになるでしょう。
●PMTCの目的とは
PMTCの目的は、虫歯や歯周病にかかりやすい「リスク部位」のプラーク(歯垢)を徹底的に取り除き、虫歯や歯周病を予防してお口の健康を保つことです。「歯医者でプラーク(歯垢)を取り除くだなんて、毎日歯磨きをしているんだから必要ない」、と思われるかもしれません。でも、歯磨きを毎日している人がほとんどなのに、虫歯や歯周病のまったくない人が少数派なのは、なぜでしょう?それは自分で行う歯磨きには限界があるからです。
毎日の歯磨きで取りきれるプラーク(歯垢)というのは6割程度だと言われています。残りの4割の取りきれない歯垢が虫歯や歯周病を引き起こす原因となるのです。PMTCではこのような虫歯や歯周病を起こすリスクとなるプラーク(歯垢)を専用の機械・器具を用いて徹底的に落としていくのです。
PMTCはこのように、虫歯や歯周病などの病気を予防するための「予防処置」であるため、保険は適用されません。日本の保険システムは、「病気の予防」に対しては保険が効かないからで、これはとても残念なことです。世界的に見ても虫歯や歯周病にかかる人の割合が圧倒的に少ないスウェーデンでは、PMTCは保険で国民すべてが受けられるようになっており、そのシステムが功を奏していると言えるでしょう。
まず保険の歯石取りとの違いですが、歯石取りは「歯周病の治療」として行われるため保険が適用されます。歯石がついていると歯茎が炎症を起こし、歯周病を悪化させてしまうためです。歯石取りを行うことで歯茎の炎症は落ち着きますが、保険で行う場合、あくまで「歯石を落とす」という必要最小限の処置に限られますので、普段の歯磨きで取りきれないプラーク(歯垢)を隅々まで落とすPMTCのような「予防処置」まで行うことはできません。
ヤニ取りや、歯の着色を落とす「ポリッシング」とはどう違うのでしょう?これらのクリーニングは、あくまでヤニやステインのような着色を落とすことを目的としています。つまり「審美的な回復」を目的にしており、歯や歯茎の健康を目的にはしていません。ちなみにヤニ取りやポリッシングも「病気の治療」を目的にしてはいないので、保険は適用になりません。
●歯が白くなる
実際にPMTCを行う際にはリスク部位だけでなく、歯を全体的に磨き上げていきます。そのため、歯の着色がきれいに落ち、歯が白く見えるという効果もあります。実際、ホワイトニングを希望している人の中にはPMTCをしただけで歯のトーンが明るくなり、それだけで満足する人もいるほどです。
●歯石や着色がつきにくくなる
歯がツルツルになるため、その後歯石や着色も付きにくくなります。
●きれいな息を保てる
プラーク(歯垢)を隅々まで落とすため、なかなか消えなかった口臭がすっきりし、きれいな息を保ち続けることができます。
人気コラム