問題なのは病的口臭の方です。病的口臭は口の外の病気、例えば扁桃腺や副鼻腔の病気、呼吸器系の病気、胃腸などの消化器系の病気、糖尿病、腎臓病、肝臓病などから来ることもありますが、口の中の病的なものが原因になっているものが9割を占めると言われており、具体的には、歯周病、虫歯、歯垢、歯石、合っていない詰め物や被せ物、入れ歯の清掃不良、舌苔(舌の上の付着物)、口の中のがん、唾液の減少などがあげられます。歯磨きをしているのに口臭が改善しない場合には、この中のいずれかを疑ってみる必要があります。
●歯垢
歯垢は歯ブラシで磨いたら取れるではないか?と思う人もいるかもしれません。しかし、歯垢というのは歯ブラシでは全部取りきれず、実際上手に磨ける人でも歯ブラシだけでは歯垢の6割程度しか落としきれていないと言われています。歯磨きをしているのに口臭が良くならない、という人は、まず歯と歯の間をデンタルフロスを使ってお掃除してみることをオススメします。デンタルフロスを普段の歯磨きに追加するだけで約9割の歯垢が落とせるようになると言われています。実際にデンタルフロスを通した後匂いを嗅いでクサイ場合、それは口臭となって出ている可能性が高いです。何回かデンタルフロスを通すうちに、臭いが和らいでいくのがわかるでしょう。デンタルフロスでも取りきれない歯垢は、定期的に歯科医院でクリーニングをしてもらうことで落とすことができます。
●歯石
歯石は、もともと歯垢が唾液のミネラル成分でかたまったもので、非常に硬く、歯ブラシでは落とせません。歯石の表面はザラザラしており、非常に数多くの細菌がその部分に絡みついていて口臭の原因になります。歯石は定期的に歯科医院で落としてもらいましょう。
●歯周病
歯周病は歯を支えている骨が溶けていく病気で、進行するにつれ、歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)が深くなります。この歯周ポケットに空気を嫌う細菌が繁殖し、非常に強い悪臭を放つようになります。歯周病にかかっている人は口臭対策だけでなく、歯周病を悪化させないためにも、歯周ポケットの中を歯科医院で定期的にお掃除する必要があります。
●虫歯
穴の空いていない初期の虫歯が臭うことはほとんどありませんが、虫歯で穴が空いてくると、その部分に細菌が繁殖して悪臭を放つようになります。穴が自分で確認できる虫歯はもちろん早く治療をする必要がありますが、中には歯と歯の間の虫歯のように、自分で見えないところから虫歯ができていることもあります。虫歯ができていても痛みの症状を出さないことも多いので、定期的に歯科医院で虫歯のチェックをしてもらい、必要に応じて虫歯治療をしてもらいましょう。
●合わない詰め物・被せ物
詰め物や被せ物と歯との間に隙間ができてしまうと、その部分に細菌が入り込んで悪臭の原因となります。プラスチックの詰め物や差し歯の場合だと、プラスチックがニオイを吸収して、歯磨きをしても取れなくなることがあります。一般的に、銀歯の詰め物や被せ物は年月が経つにつれ、歯との間に隙間ができやすく、口臭を引き起こしやすいと言えます。詰め物や被せ物は、定期的に歯科医院で適合具合を確認してもらい、必要に応じて取り替えましょう。なお、歯との適合の良いセラミックの材質にすることで、口臭も非常に出にくくなります。
●舌苔
舌の上につく舌苔(ぜったい)によっても口臭が起こることがあります。しかし、それは舌の上に大量に蓄積している場合です。そのような場合は舌ブラシややわらかい歯ブラシでそっと落とすと良いでしょう。少量の舌苔がついている状態は健康的な状態で、口臭の原因にはなりません。無理に落とすと逆に口臭がひどくなることがあるので、少量の場合はそのままにしておく方が良いでしょう。
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