審美歯科

オールセラミックを長持ちさせるためのコツとは

2018.07.13
オールセラミックは、すべてがセラミックでできている詰め物や被せ物のことをいいます。かつてはセラミックだけでは強度的に問題があるということで、被せ物の場合、金属で補強したセラミックが主流でしたが、近年ではセラミックの性状が改良され、セラミックだけで作られたオールセラミックが大変人気を博しています。オールセラミックは審美性が高いため、見た目を重視する人に特に人気がありますが、それ以外にも様々な点で素晴らしい特長を兼ね備えています。ですが、そんなオールセラミックにも弱点はあり、長持ちさせるためにはいくつかの点で注意をする必要があります。今回はオールセラミックを長持ちさせるためのコツについて見ていきたいと思います。

オールセラミックの特長

オールセラミックの特長
オールセラミックの特長としては次のようなことが挙げられます。

●見た目が自然の歯に近い
オールセラミックは一切金属を使わないため、透明感に優れ、微妙な色の調整も可能です。そのため見た目が最も自然の歯に近いのが特長で、その点が多くの人を魅了するメリットだと言えるでしょう。

●金属アレルギーを起こさない
オールセラミックは銀歯や金属で裏打ちされたセラミックと違い、金属アレルギーを起こす心配がありません。また、材質的にも安定していて体内に溶け出す、ということもなく、体に優しい材料なのも特長です。

●虫歯や歯周病になりにくい
オールセラミックは、歯との適合が非常によく、セラミックと歯との間から虫歯(二次カリエス)になりにくいというのも注目すべき特長です。また、セラミック表面は傷がつきにくく、歯垢もつきづらいので、歯茎にも炎症を起こしにくく、他の材料に比べ歯周病になりにくいと言えます。

●美しさを長期間保ちやすい
オールセラミックは表面に傷がつきにくいので、保険のプラスチックの材料のように年数がたつほど変色する、ということがなく、年数が経っても変わらぬ美しさを保つことができます。また、金属を使用した場合と違い、金属が溶け出して歯茎を黒くしてしまうということもありません。

オールセラミックで気をつけるべき点

オールセラミックは上で挙げたように、優れた特長をいくつも持っていますが、その代わり保険が効かず、保険の治療よりはかなり高額になってしまいます。通常、保険の銀歯で平均して3〜5年くらい、セラミックで10年〜15年くらいと言われているように、セラミックは保険のものよりも通常かなり長持ちするものですが、より長持ちさせるためには次のようなことを知っておくとよいでしょう。

●オールセラミックは割れることがある
オールセラミックはかつてのものと比較し、強度も随分改善されましたが、やはりセラミックといえば「陶器」ですので、非常に強い力がかかると割れてしまうことがあります。そのため、歯ぎしりや食いしばりの癖がひどい人の場合、割れてしまうことを懸念し、勧められない場合もあります。また、噛み合わせというものは噛んでいるうちにすり減ってきたりするため、だんだんと変わってくるものです。特に、天然の歯、銀歯、セラミックなどが混在している場合、それぞれのすり減り方は異なりますので、すり減りにくいセラミックは強く当たりやすくなってきます。そのため、それが原因でセラミックが割れてしまうこともあります。

●オールセラミックでも虫歯や歯周病になることはある
オールセラミックは人工物ですから、それそのものが虫歯になることはありません。また、他の材料のものと比較し、虫歯や歯周病になりにくいことから、つい油断して歯磨きがおろそかになってしまう人もいます。しかし、さすがに歯のケアを怠っていると虫歯にかかってオールセラミックを外さなければならなくなったり、歯周病になって歯茎が下がり、オールセラミックの境目が露出して、見た目が悪くなってしまうこともあります。

オールセラミックを長持ちさせるためのコツ

オールセラミックを長持ちさせるためのコツ
●オールセラミックに力がかかり過ぎないようにする
歯ぎしりや食いしばりの癖がある、という人はオールセラミックが過剰な力で割れないよう、就寝時のマウスピース、スポーツで食いしばりをする人はスポーツ用マウスピースなどを装着すると良いでしょう。また、飴や氷、カニの殻のような硬いものをオールセラミック部分で噛まない、ということも大事です。そして、噛み合わせの力のかかり具合を歯医者の定期健診の時にチェックしてもらい、異常があれば噛み合わせの調整をしてもらうようにしましょう。

●自宅でのケア、歯科医院でのケアを怠らない
オールセラミックであれ、自分の歯であれ、すべての場合に言えることですが、歯のケアは念入りに行うようにしましょう。まず基本となるのは家庭でのケアで、歯と歯茎の間の汚れを特に念入りに落とすようにしますが、この時硬い歯ブラシを使ったり、必要以上にゴシゴシこすると歯茎が下がってオールセラミックの境目が見え、審美的な問題が出てきます。歯ブラシはやわらかめのものを使い、優しい力で磨くようにしてください。また、少なくとも半年に一回は歯科医院でのクリーニングを受け、虫歯予防、歯周病予防に努めましょう。


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