インプラント

インプラント治療を詳しく知り、インプラント治療を選ぶ理由を知ろう

2017.09.19
 インプラント治療とは、虫歯や歯周病、または事故などによって歯を失ってしまった場合、失った箇所に人工歯根を埋め込んで、人工歯根を埋め込んだ部分の上部に歯冠を装着して歯の機能と見た目を修復する治療方法です。
 インプラントは自費診療のため安価ではありませんが、見た目や機能面で患者様に大きなメリットがありますので、ご紹介します。

インプラント治療とは

インプラント治療とは
 インプラント治療とは、人工歯根(インプラント)を骨の中に入れ込み。人工歯根(インプラント)と骨が十分に接着するのを待ち、その上部に歯を作成する施術方法です。 また、インプラントの治療方法は様々な状況によって方法が変わってきます。

[1回法]
 1回法はインプラントの手術を1回で終わらせる方法のことです。インプラントを骨に挿入した後、口内に露出させます。その後、人工歯を装着するため、一度の切開で終わらせることができます。
 しかし、骨の厚さや高さが不足してる場合、感染のリスクが高くなってしまうことがデメリットに挙げられます。

[2回法]
 2回法は、インプラントの手術を2回に分けて終わらせる方法のことです。一度目の手術では歯肉を切開して、歯槽骨に穴を開けてインプラントを埋入します。インプラント埋入後、骨とインプラントがくっつくまで待ちます。
(約3ヶ月~6ヶ月以上)
 二度目の手術で、アバットメントを取り付けて仮歯を状況に応じてつけます。その後、歯肉が落ち着くまで待ちます。 2回法は、1回法と比べて手術期間が長くなってしまい、手間がかかりますが、インプラントと骨がきっちり結合しているため感染のリスクも少なくなります。

[抜歯即時インプラント]
 2回法では、感染のリスクはなくなりますが、インプラントの手術をおこなったあと約3ヶ月~6ヶ月あけるため時間がかかっていました。抜糸即時インプラントでは抜歯と一緒のタイミングでインプラントを埋入します。
 また、インプラントと骨がくっつくまでは仮歯を使用するため、手術した日に噛むことができるようになります。
 この方法は、事故など歯が折れてしまいダメになった場合、歯肉に抜歯痕が残ります。抜歯した状態が続いていると骨がやせていくため、抜歯した日にインプラントを埋入します。

●骨が少ない場合のインプラント治療方法
 虫歯や歯周病が原因で、歯を失ってそのままにしておいたら、顎の骨が
やせて細くなってしまいます。 そのように骨がやせ細ってしまった状態ではインプラント治療ができないと診断された方もいらっしゃると思います。
しかし、インプラントを可能にするために、骨の薄さを解消する補助手術もありますのでご紹介していきます。

[骨誘導再生術(GBR)]
 顎の厚みや幅が足りない場合に行う施術方法です。骨が不足しておりインプラント治療ができない部分に、膜を覆って骨を作るスペースを確保します。その確保したスペースに、骨のもとになるものを詰めることによって骨の再生を促す方法です。
だいたい、治療期間は4週間~6週間程度で骨が再生します。

[ソケットリフト]
 上顎臼歯部には顎洞と呼ばれる空洞があります。インプラント体の埋入には一定以上の骨の厚みが必要です。上顎の骨が極度に薄い場合、インプラント治療を行うことができません。ソケットリフトでは、上顎の骨を少しだけ残して、その残した骨ごと上顎洞を覆っている粘膜を持ち上げて、骨を増やしてインプラントを同時に埋め込む方法です。

[サイナスリフト]
 顎の骨が著しく少なく不足している場合に行う方法です。
 上顎粘膜洞を上顎洞から剥離して挙上、その挙上によってできたスペースに人工骨や他の部分から採取した自分の骨を移植することで、上顎洞底線の位置を上げ、インプラント埋入に必要な骨の厚みを獲得する方法です。

 インプラントの治療方法についてご紹介してきました。歯を失った期間が長く、インプラントをできないと診断されても、インプラント治療を受けるために行える方法はいろいろとありますので、インプラント治療が難しいと思っている方は、一度歯科医院に相談してみてください。

インプラント治療と入れ歯、ブリッジの違い

インプラント治療と入れ歯、ブリッジの違い
 インプラントと入れ歯、ブリッジは歯を失ったときに人工歯の治療としてはこの3パターンが考えられます。それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。

<インプラントのメリット・デメリット>


[インプラントのメリット]

●天然の歯と同じように噛むことが可能
 人工歯根を顎の骨に埋入し、完全に固定しているため噛む力は天然の歯の噛む力とほとんど変わりません。そのため、治療する前と同じように噛むことができるので食事などの不自由さからも解放されることになります。また、歯槽骨に結合した人工歯根の上に支台部と人工歯冠が固定されているので外れてしまうこともほとんどありません。

●見た目が天然の歯のように美しくキレイ
 
人工歯根の上の支台部を色々選択することができ、歯茎の下に隠れるように設計できます。上部構造においてもさまざまな素材から希望にあわせたものが選択できますので、自身にあった自然で美しい仕上がりにすることができます。

●周りの健康なはを傷つけない
 
インプラント治療は、歯を失った部分のみ治療するため健康な歯を傷つけることはありません。 また、インプラントは隣在歯に全く力がかからないため、健康な歯は健康のままに残しておくことが可能です。

●歯槽骨の吸収を防ぐ
 顎の骨が減っていってしまうと、顔がくぼんでしまい老けた様相になってしまいます。インプラントでは、歯槽骨の中に埋入されているため、咀嚼するたびに咬合力が直接骨から伝わるので、歯槽骨が吸収されることはありません。

●違和感がない

 インプラント治療は、人工歯根を完全に固定してしまいます。そのため合わないなどの違和感がありません。
また、味覚の低下や熱が感じにくいということもないため、治療前のように安心して食事を楽しむことができますし、動きに制限もないので違和感なく会話も楽しむことができます。

[インプラントのデメリット]
●治療費用が高額
 インプラント治療にかかる費用は、健康保険の適用外になるため自費診療になります。また、医療機器材料が高額になるため、医療機関によってバラつきはありますが、高額な治療費用になってしまいます。 費用に関しては、素材、審査方法、治療法になどによっても変わってきます。
しかし、インプラント治療は高額治療費として認められています。そのため医療費控除を受けることができ、治療費を軽減することができます。
(医療費控除は一般に10万円~200万円の治療費が対象)

●治療期間が長い
 インプラント治療には、厳密な診査・診断と治療計画が必要になってきます。また、人工歯根が歯槽骨と結合する期間で上顎で6ヶ月程度、下顎で3ヶ月程度必要になります。その後、インプラントを埋入してから完全に骨と結合するまでには、2ヶ月~6ヶ月程度必要になります。
しかし、最近では、「即時インプラント治療」という方法があり、骨がしっかりしていれば、手術したその日に仮歯まで装着するやり方もでてきたため、詳細は、歯科医院に相談してください。

●治療を受けることができない人がいる
 
糖尿病や腎臓不全、脳疾患、癌、肝炎、心臓病、全身疾患の方は、コントロールされていない循環疾患機などで、病気によって手術に危険を伴う可能性があるため。 例えば、糖尿病の方は殺菌の侵入による抵抗力が落ちるため、歯周病になる可能性が高くなります。 しかし、糖をコントロール治療が可能です。 何か病気を持っている方で、インプラント治療を検討している方は、主治医の方と相談してみてください。

●インプラント周囲炎などの可能性がある
 インプラントも天然の歯のようにメンテナンスしなければ、インプラント周囲炎を起こします。 インプラント周囲炎とは、歯周病のような症状です。インプラント周囲の歯肉が赤く腫れていきポケットからの出血し、膿が出て、進行していくと歯槽骨が吸収されてしまい、インプラントの脱落の原因になります。

<入れ歯のメリット・デメリット>
[入れ歯のメリット]
●歯を削らない
 一部の入れ歯を除けば、健康な自身の歯を全く削ることなく入れ歯を作成することが可能です。 一部の入れ歯では歯を削る必要がありますが、比較的削る量も少ないため歯への負担が少ない。

●治療期間が短く、外科処置の必要がない
 部分入れ歯の治療は、2~5週間程度ですむため、短期間である程度の咀嚼機能を回復することができます。また外科処置がひつようないため、外科処置に不安がある方もいらっしゃるためメリットの一つと思われます。

●どんなお口の状態でも作成可能
 ブリッジでは両隣への歯の負担が大きくなるため、両隣の歯は強くないといけません。また、インプラントにおいては、十分な骨の量が必要になりますが、入れ歯においては、そのような必要条件がなくどんな状態でも治療が可能です。また、お口の中からの着脱が可能のため、お口の中から出して入れ歯を掃除すること可能ですので、衛生的に保つことができます。

[入れ歯のデメリット]
●痛みや不快感を感じることがある
 入れ歯は基本的に力をかけると変形する粘膜の上に乗っているもののため、粘膜のあたりに対する微調整に時間がかかる。また、保険適応で使用できる材質のプラスチックは比較的厚みがある状態の入れ歯になるため、繊細な感覚をもつお口では、不快症状に感じることもあります。

●長期間同じ咬み合せを維持できない
 入れ歯では、天然の歯の噛む力に対して半分以下の力しかないため、硬いものはあまり噛むことができません。また噛む力が弱いことで、歯茎や骨が弱くなり口腔内環境が変化してしまうと入れ歯の形があわなくなります。
形が合わなくなったその都度調整が必要になります。

●装着時に違和感がある
 保険適用内の入れ歯は特に厚いため、装着時に違和感を覚える人が多いです。自分の歯との咬み合せが悪いことも多いため、話しにくいなどの弊害が出る可能性があります。

●味覚に変化がある
 保険適用内のプラスチック製の入れ歯では、味覚の変化が生じてしまいます。また、厚さがあるため食べ物の温度や食感が分かりにくくなってしまいます。

●自然な歯の外観を維持しにくい

<ブリッジのメリット・デメリット>

[ブリッジのメリット]
●天然の歯のように噛むことができる
 ブリッジは自分の歯に被せ物を入れる治療のため、噛んだ時には周りと同じように自然に噛むことができ噛み心地を得ることができます。

●治療期間が短い
 
治療過程としては、1回目に歯を削り型をとります。そして、2回目に被せ物をセットします。 治療過程としては、この2回で終了になります。インプラントの治療期間は数ヶ月以上になるため早く治療を終了したい人にとってはメリットの一つになります。

●被せ物がしっかり固定される
 ブリッジは完成すると、歯科用の接着剤でしっかりと固定するため、入れ歯のように噛むたびにズレたり、浮き上がってくることはありません。

●外観が白い歯を入れることができる
 保険のブリッジでも、前歯は白い歯を入れることができます。内側は、金属が使われますが、あまり人目につかないため自然な歯のように見えます。

[ブリッジのデメリット]
●隣の歯を削らなくてはならない
 虫歯などがなく、健康な歯に関してもブリッジを行う場合、隣の歯は削らなくてはなりません。歯は一度削ってしまうと二度と元には戻らず、寿命も短くしてしまうので最大のデメリットになるでしょう。

●土台になる歯の状態に左右される
 片方がグラついていて、片方がしっかりしていると揺れ方が異なり、その歯の揺れによって接着剤が溶けてしまい、溶け出した隙間に細菌が入り中で虫歯が進行してしまう可能性があります。

●両隣に歯がないとブリッジをすることができない
 ブリッジは2本以上の歯の間に橋をかける治療になるので、歯が両サイドになければ治療ができません。

●土台の歯が割れる可能性がある
 ブリッジ治療の場足、土台となる両隣の歯が失ってしまった歯が負担する分の力を負担していることになるため、土台の歯には本来の約1.5倍の力がかかってしまうことになります。そのため負担がかかりすぎて歯が割れてしまう可能性があります。

まとめ

 歯を失ってしまったときの治療方法それぞれのメリット・デメリットをご紹介してきましたが、天然の歯と遜色がないのは、インプラントになります。費用は確かに高額になりますが、食事なども違和感なくおこなえるのは最大のメリットになると思います。
 それぞれの治療方法にメリットとデメリットがありますので、人工の歯を入れる時は歯医者さんに相談して、慎重に治療方法を決めて納得のいく治療を行ってください。


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