①カウンセリングを行う
現在のどのような症状やインプラント治療によってどのように回復させたいのかなどを歯科医師に伝える機会です。また、治療計画についてもちゃんと理解してもらいます。もし、不安な点や分からないことがある場合、その不安を解消する機会がカウンセリングになります。
②精密検査を行うことで現在に残っている歯の状態を確認する
口腔内の精密検査を行っていきます。現在残っている歯の虫歯や歯周病の状態や、噛み合わせの状態がインプラント治療に問題ないかを確認するために、歯周病の精密検査や口腔内写真、噛み合わせの検査を行います。
③骨の状態を確認する
インプラントを埋入する部分の骨の厚みや幅などがインプラントを埋入するために十分あるかどうかをCT撮影することによって確認します。また、神経や血管、鼻の空洞までの距離もCT撮影によって確認していきます。
④インプラントを埋入する位置や方向を決定する
今までの検査結果やシュミレーションソフトを使用してインプラントの大きさや長さを決定します。CT撮影で骨に状態を確認し、骨を作る処置が必要かどうかを診断します。その後、最終的な被せ物をどのように被せるかまでシュミレーションソフトを使用して決定して、インプラントを埋入する位置を決めていきます。
⑤人工歯根を骨に埋める
1.部分麻酔を使用して歯肉を切開します。
2.インプラントを顎の骨に埋入します。(ドリルでインプラント体を埋め込むための穴を開けてから埋入し、インプラント体の頭の部分にカバーを装着します。)
3.切開した歯肉を縫合します。(抜糸まで、約1週間程度かかります。感染防止に抗生物質や消毒液を使用します。)
手術時間は約30分~1時間程度になります。シュミレーションした理想的な位置にインプラントを入れることで痛みや出血をほとんどなくすことが可能です。
⑥インプラント体と骨がくっつくのを待つ
インプラント体を顎の骨に埋入した後、インプラント体と顎の骨がしっかりくっつくまで待つ必要があります。
骨がくっつくまでの期間としては、2ヶ月~半年程度になります。その期間は抗生剤を使用して口腔内を清潔に保つ必要があります。また、歯磨きの仕方も指導してもらい毎日のケアも必要になります。
骨がくっつくまでの期間は歯がない状態になりますので見た目などが気になる方は仮歯を入れることも可能です。
⑦インプラントの上部構造部分を装着していく
インプラント体と骨がくっついたことを確認後、人工歯を取り付けるための人工歯の土台となるアバットメントと呼ばれる部分を取り付けます。その後、歯肉が落ち着いてから人工歯の型取りを行い人工歯が完成後取り付け治療完了になります。今まで噛んでいなかった部分では、頬や舌の筋肉がゆがんでいるため、噛むことで筋肉を機能させて元の状態に戻していきます。
⑧インプラントのメンテナンスを行ってく
3か月から半年に一度、定期的にインプラントの周りの清掃やかみ合わせの確認をしていきます。1度失ってしまった歯をインプラントによって再生させました。同じ失敗を繰り返さないようにしっかり手入れをして、自分の寿命よりも長く使うことができるようにしていきましょう。
●残っている歯の負担を軽くすることができる
インプラントは失ってしまった歯の部分に新たな歯を作って再生させる治療です。歯を一本失ってしまうと、失った歯の噛み合わせの負担は残っている歯にかかります。残っている歯には過剰な負担がかかってしまい、残った違う歯を失う原因になってしまいます。インプラントによって失った歯を再生することで、他の残っている歯の負担を軽くしてあげることができます。そのため、他の歯の寿命も伸ばすことができます。
また、ブリッジのように前後の歯を削ることがありません。歯には再生する力がありますが、一度削ってしまうと再生する力はなくなり、寿命が短くなってしまいます。しかし、インプラント治療は、歯を削ることがないので健康な歯の寿命を短くすることはありません。
●顔の歪みや噛み合わせのバランスを整え、顔の筋力も回復できる
奥歯の大臼歯を2本失ってしまうと噛み合わせのバランスが崩れてしまいます。奥歯の大臼歯は噛む力の約70%程度を担っています。奥歯を失ってしまうと片側でしか噛むことができず、顔が歪んできたり、噛み合わせのバランスが崩れてしまいます。また、入れ歯治療になると噛む力が衰えてしまい、顔の筋力がなくなり張りがなくなってきます。顔の張りがなくなることでシワも増えてきてしまいます。しかし、インプラントでは硬いものでも噛むことができるため、顔の筋力も刺激され発達していきシワも取れ顔に張りが出てきます。
インプラントは天然の歯と遜色なく噛むことができます。また、入れ歯のように違和感もなく骨にしっかり埋め込まれているため外れる心配もほとんどありません。また、インプラント人工歯の部分はセラミック素材でできているため機能面だけでなく審美性に関しても自然できれいな見た目に仕上げることができます。
●骨の病気がある人はインプラント治療が難しい
インプラントは顎の骨の中に人工歯根を入れて、顎の骨と人工歯根が付いた状態で機能させます。骨粗鬆症や重度の糖尿病などを患っている方は骨がもろく弱くなっています。そのため、インプラントを埋入する顎の骨も弱くなってしまってインプラントを固定できないことがあります。そういったことから、インプラント治療が難しく場合によってはインプラント治療ができないことがあります。
●費用が高い
インプラント治療は、保険適用外の治療になるため、保険の入れ歯などと比べると非常に治療費用が高くなってしまいます。
インプラント治療はメリットの多い治療方法ですが、完璧な治療ではありません。そのため、しっかりデメリットがあることも知っておきましょう。また、インプラントは治療完了後も歯科医院での定期的なメンテナンスが必要になります。メンテナンスを怠るとインプラントの歯周病になってインプラントを取り除く原因になってしまいますので注意しましょう。
●定期的な歯科医院でのメンテナンス
インプラントは天然の歯よりも細菌に対する抵抗力が弱いです。そのため、歯科医院でのメンテナンスを怠って歯垢や歯石が溜まってしまうとインプラント周囲炎というインプラントの歯周病になってしまう可能性が高くなります。インプラント周囲炎が悪化してしまうとインプラントを取り除く原因になるので、定期的なメンテナンスを行うことで歯垢や歯石を取ることでインプラントを長持ちさせることができます。
●定期的に噛み合わせを調整する
インプラントは骨と直接固定されています。しかし天然の歯は、すり減ったり、動いたりして少しづつ位置が変わっています。そのため定期的に噛み合わせを調整していかないとインプラントだけが強く当たってしまい、抜けたり、揺れたりしてしまいます。
インプラントは平均的には10年程度使うことができと言われています。しかし、メンテナンスなどを怠ることで2~3年でダメになることもありますし、しっかりメンテナンスや噛み合わせの調整、毎日の歯磨きなどのケアにすることで10年以上使うことができることは珍しいことではありませんので、治療完了後も安心せずにメンテナンスなどは怠らず行っていきましょう。
●骨が成長過程の方
インプラントは骨とインプラント体を固定するものです。成長過程の方だと歯や顎の位置、かみ合わせなどが定まっていないのでインプラント治療後にかみ合わせが変わった場合、やり直さなくてはいけません。そのため成長が止まった20歳以降まで待ってから行ったほうがいいのです。
インプラントは外科処置になってきますので、服用している薬や患っている病気が原因で治療が行えなかったりします。また、患わっている病気によっては悪化してしまったり、治療中にトラブルにもつながりかけません。
そのため、現在服用している薬や患っている病気がある方は歯科医院で相談して、インプラント治療を行っても問題ないかをしっかり確認しましょう。
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