インプラント

インプラント治療を骨がなくても諦めず、インプラント治療を可能にする方法

2017.10.27
 インプラント治療を行いたいと思っていても、骨がないためインプラント治療ができないと言われてしまった人もおられると思います。歯を失ってから、時間が経過してしまうと歯があった部分の骨がやせてしまいます。それが原因でインプラント治療ができないことがあります。そのような時に、インプラント治療を可能にするため骨の再生方法がありますのでご紹介します。

インプラント治療の骨移植、骨造成とはどのようなものか

インプラント治療の骨移植、骨造成とはどのようなものか
インプラント治療は顎の骨の中に、インプラント(人工歯根)を埋入する治療です。顎の骨の中にインプラントを埋入するため、
その埋入する顎の骨に厚みや高さがない合、
インプラント処置に必要な厚みや高さを作らなければなりません。その時に行われるのが骨の移植や骨造成という方法です。

●骨移植
 骨移植には、自家骨移植と人工骨移植の2つの方法があります。


[自家骨移植]

 自家骨移植とは、自分自身の骨を移植する方法です。ほとんどの場合、下顎の一部の骨を採取して使用することが多いです。他の部分とはいえ移植に使用している骨は自分の骨のため、拒絶反応などは起こりません。また、骨同士の接合に関しても心配する必要はありません。しかし、自分の骨を採取するため採取すると時にも手術が必要です。また、採取した骨を移植するための手術も必要になるため、採取する箇所と移植する箇所の2か所の手術が必要になります。

[人工骨移植]
人工骨移植とは、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ハイドロキシアパタイトなどの人工骨を代用の骨として使用する方法です。ほとんどの場合は、自家骨と併用して行われることが多いです。人工骨を使うことで、自家骨を取る量が少なくて済みます。また、術後に採取した部位に後遺障害がでる可能性もほとんどありません。 しかし、自家製移植行った方が人工骨移植と比べて早く骨が出来ると考えられています。

●骨造成

 骨造成とは、インプラントを埋入するために必要な顎の骨を作ることです。

顎の骨がやせていってしまう原因

顎の骨がやせていってしまう原因
●歯を抜いてから放置したままになっている 歯を抜いてから時間が経ってしまうと、元々歯があった部分の骨がくぼんでいってしまいます。特に前歯の場合では、歯によって骨の厚みを支えています。そのため、歯をぬいてから時間が経過していくとともに骨がどんどん薄くなってしまいます。

●歯周病
 歯周病菌から出される毒素によって顎の骨は吸収されます。歯周ポケットの中に歯周病菌が増えるとえていくと、血液内の白血球などが集まってくることで歯周病菌が体内に入ってくるのを防いでくれます。しかし、それでも防ぐことができないほど歯周病菌の勢いが強いと顎の骨が吸収することによって、歯周病菌から逃げるのです。

●虫歯
 虫歯菌によっても顎の骨を吸収します。虫歯菌が根の先から出てくると歯根嚢胞という袋を作ります。 歯根嚢胞とは、歯の神経が死んでしまうと神経が入っていた空洞に細菌が繁殖し、毒素や細菌が根の先から顎の骨に出され膿の袋のことです。歯根嚢胞は、顎の骨を溶かすことによって、大きくなっていきます。歯根嚢胞ができる原因の一つが歯の神経が死んでしまうことなので、歯の神経はなるべく残す治療をしていくことが大切になります。

●歯ぎしり
 歯ぎしりによって硬い歯が揺さぶられることで、その周りの柔らかい顎の骨が吸収していきます。年齢をかさねていくと、体の抵抗力が低下していくため、歯ぎしりによって作られた歯と歯槽骨の隙間に、歯周病菌が入り込み歯槽骨が吸収します。歯科医院で噛み合わせなどを確認してもらい、マウスピースなどを使って予防していく必要があります。

●ブリッジや入れ歯のフック
 
ブリッジの土台になっていたり、入れ歯のフックがかかっていると、かかっていない歯よりも歯にかかる負担が大きくなります。歯にかかる負担が大きくなることによって顎の骨が吸収します。噛む力は奥歯で約60kg程度もあると言われています。1本歯が無くなってしまうと、その負担が残っている歯にかかってしまうため、さらに残っている歯の顎の骨が吸収していきます。奥歯は噛む力が強いため、失ってしまった場合はインプラント治療を行うことで、残っている周りの歯に負担をかけず守っていくことが可能です。

●顎の骨を使っていない状態
 骨は力が加わることによって厚くなります。そのため、力が加わらない状態だと逆に細くなってしまいます。歯の周りの骨は、噛むことで強い力が加わります。それによって骨が厚くなります。逆に歯が無くなってしまい噛むことができず力を加えることができないと骨は痩せ細っていってしまいます。 骨がやせてしまう主な原因はいろいろとありますが、全て予防が可能なものなので、歯磨きなどによる毎日にケアを適切に行うことで虫歯や歯周病を予防できますし、歯ぎしりに関しては歯科医院に噛み合わせの相談をしたり、マウスピースによって歯を守ることができます。歯を抜いた箇所を放置している人に関しては、早急に歯科医院に相談して治療を始めることをおススメします。

骨造成の治療方法

●ソケットリフト
 
上顎臼歯部(上顎の奥歯)には上顎洞という空洞が存在します。また、上顎の骨は下顎に比べて軟らかいので、歯が抜けてしまうと急速に骨吸収をおこし、骨の量は減っていきます。そのような場合、ソケットリフト法という上顎の骨の再生手術という方法があります。ソケットリフト法とは、インプラントを入れるために開けた骨の穴から人工の骨を入れて骨の高さを作ります。インプラントを入れると同時に骨を作る処置を行います。

●サイナスリフト
 
サイナスリフトとは、上の奥歯の骨が薄くなり副鼻腔との距離が2mm以下の場合、インプラントを同時に入れると安定しません。そのため、まず骨を作る処置をします。その後、インプラント治療を行います。骨の横から穴を開け、人工の骨を入れて10mm程度の骨の高さを作ります。約6ヶ月程度経過後、人工の骨が固まったのを確認してから、通常のインプラント治療を行っていきます。
●スプリッドクレスト
 スプリッドクレストとは、骨の厚みを少しずつ広げながらインプラントを入れていく方法です。骨の柔軟性を利用しながらインプラントを入れる穴を広げます。ある程度広がったことを確認したらインプラントを埋入します。その時、隙間には人工の骨を入れます。

●GBR

 骨の横幅が薄くなってしまうとインプラントを骨に入れても、インプラントの根の部分が出てしまいます。薄くなってしまった骨を厚くする処置のGBRをします。GBRは薄くなってしまった骨の部分に人工の骨や自分の骨を追加し、骨に厚みを持たせる治療です。骨の薄さによってインプラントと同時に行う場合と、GBRを行って骨が出来上がってからインプラントを行う場合があります。

骨造成外のインプラント治療法

●ザイゴマインインプラント 上顎の奥歯の骨がほとんどない場合、頬の骨に長いインプラントを入れて安定させるザイゴマインプラントという方法を使うことがあります。
 ザイゴマインプラントは単独で使うことは少なく、前歯のインプラントとザイゴマインプラントをつないで使うオールオンフォーという4本のインプラントでブリッジを支える方法で使います。

●短いインプラントをつなげて治療する方法 骨の高さがない場合は通常より短いインプラントを使います。インプラントは歯の根と同じくらいの長さのものを骨に入れることが多いのですが、骨の高さが足りない場合には短いインプラントを入れ、上につける被せ物をつないで強度を保ちます。

●斜めにインプラントを埋入する方法
 骨移植や骨造成が行えない場合、斜めにインプラントを入れる方法を使うことがあります。本来インプラントは周りの歯に合わせた方向に入れますが、まっすぐに入れると骨が足りない場合、わざと骨のある部分に斜めに入れることがあります。もともとある骨を使うので安定したインプラントになります。

まとめ

まとめ
 インプラント治療を行う上で、インプラントを埋入するための骨の量が少ない人でもインプラント治療は可能です。
 インプラント治療は、歯を失った際の治療である入れ歯などと比べるとしっかりと噛むことができます。 また、自然できれいな歯に仕上がるため違和感などを日常生活で感じることはほとんどありません。
インプラント治療の知識が豊富な歯科医院では、骨の量が少ない場合でも相談の上インプラント治療が可能になります。
骨の量の問題でインプラント治療を諦めていた人は、一度歯科医院に相談してみることをおススメします。 歯を失ってしまった人は、まず歯科医院でインプラント治療ができる方法を諦めず相談してください。


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