審美歯科

詰め物や被せ物、差し歯の寿命はどのくらい?材質による違い

2018.03.4
歯の治療の最終段階である詰め物や被せ物、差し歯が入ると、「やっと終わった」とホッとしますよね。「これでもう歯医者のお世話になることもない」と思う人も多いかもしれませんが、やはり人工物には耐用年数、寿命というものがありますので、いずれまた歯医者でやり直しが必要になる時がきます。今回は詰め物や被せ物、差し歯の寿命というのは一体どのくらいなのか、材質によって寿命や体に対する影響に違いがあるのか、ということについて詳しく見ていきたいと思います。

詰め物や被せ物、差し歯の寿命

詰め物や被せ物、差し歯の寿命
保険で行われる銀歯の場合、その寿命(耐用年数)は大体5〜7年くらいだと言われています。差し歯も同程度だと考えてよいでしょう。もちろん、これは平均の値であり、お手入れ方法、治療の質、食生活などはそれぞれ個人によっても違いますので、これよりもっと早くダメになってしまう場合もあれば、何十年と問題なく使えている場合もあります。ですが、大体はこのくらいのものだと考えておくのがよいでしょう。

詰め物や被せ物、差し歯がダメになってしまうとはどういうこと?

詰め物、被せ物、差し歯がダメになってしまう、寿命が来る、とは次のようなことを言います。

●詰め物や被せ物、差し歯自体が壊れてしまう
詰め物、被せ物、差し歯の寿命を決めるものとして、「そのもの自体が壊れてしまうこと」が挙げられます。銀歯は強度があるため、そのものが壊れてしまう、ということは滅多にありませんが、歯科用レジンと呼ばれるプラスチック素材や差し歯のプラスチック部分などは欠けたり割れてしまったりすることがあります。

●詰め物や被せ物、差し歯の中が虫歯になってしまう(二次カリエス)
詰め物や被せ物、差し歯のような人工物と自分の歯との境目から虫歯ができてしまうこともあります。この場合も、その人工物自体を外して治療しなければならないので、「寿命がきた」ということになってしまいます。人工物がダメになってしまう場合の原因のほとんどはこれにあたります。詰め物や被せ物、差し歯と歯との間に虫歯ができてしまう原因としては、

●歯と人工物をくっつけているセメントの劣化
●人工物周囲の清掃不良
●人工物そのものの精度が良くない
●人工物そのものの劣化

などが挙げられます。

保険のものと自費のもので寿命に違いがある?

保険のものと自費のもので寿命に違いがある?
先ほど、保険の銀歯の場合には寿命が大体5〜7年だと書きましたが、実はこの寿命というのは、使用する材質によっても変わってきます。例えば、被せ物(クラウン)の場合、保険の銀歯だと10年以内に約半分はやり直しになる(北海道大学予防歯科学教室のデータによる)のに対し、自費のセラミッククラウンの場合だと、やり直しになるケースは10年以内で6%ほどだという結果(チューリッヒ大学のデータ)が出ています。

つまり、自費のセラミックで治療をしたほうが、長持ちするということが言えます。また、ここで注意したいのは、人工物の寿命が来るというのは、人工物をやり換えることだけを意味しない、ということです。人工物をやり直す場合のほとんどの理由は、内部に虫歯ができてしまう場合ですが、虫歯の部分をその度に削らなければならないので、やり直せばやり直すほど、中の歯にもダメージが加わり、早く歯がダメになりやすいということが言えるのです。

そのため、治療をする際に材質を決める時は、値段が安いか高いか、ということだけでなく、その辺のこともよく考えて決める必要があります。

材質によって歯や歯茎への影響も異なる!

一般的に、自費の治療では劣化しにくい材料を使い、型取りの材料にもよい材料を使うなどしますので、保険のものに比べて精度が高いですし、材質そのものも年数にかかわらず劣化しにくいので、よりよい状態を保ち続けることができます。それに対し、保険の治療では、材質的に経年変化に弱く、型取りの材料も必要最低限のものを使います。そのため、年数が経つとだんだんと酸化したり、色が変わったり、虫歯になりやすくなります。

これらの理由が保険と自費の材質の寿命の違いに関わってくるのですが、材質の違いというのはこれら以外にも、歯や歯茎、体に対する影響に違いをもたらします。例えば、保険の材料の銀歯の場合、金属イオンが唾液中に溶け出し、金属アレルギーの原因になったり、歯茎の色を黒くしてしまう「メタルタトゥー」の原因になったりすることがわかっていますし、保険の歯科用レジン(プラスチック素材)の場合は、表面に傷がつきやすいため、色が変色しやすい、また、歯垢(プラーク)がくっつきやすく、歯茎に炎症を起こしやすい、というようなことが挙げられます。

それに対し自費のセラミックの場合だと、材質が安定しているため、唾液中に成分が溶け出すことがなく、体に悪影響を与えることもありません。また、表面に傷がつかないため変色せず、歯垢(プラーク)もつきにくいので歯茎が健康を保ちやすいという違いがあります。

詰め物や被せ物、差し歯をする予定の人は以上のことをよく踏まえ、よく考えて材料を選ぶようにしていきましょう。


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