●差し歯に使われている金属の溶け出し
差し歯には保険で作るものと保険外のものがありますが、保険で作るものの場合、差し歯を構成している土台や被せ物に使用されている金属が歯茎を黒くしてしまいやすいという性質があります。お口の中は常に唾液で満たされていますし、食べ物や飲み物の刺激にもさらされます。そうすると、金属のイオンが徐々に唾液中に溶け出し、その影響で歯茎を黒く変色させてしまうのです。この現象をメタルタトゥーと呼んでいます。
●差し歯の金属部分が見えている
保険で作る差し歯や、保険外のメタルボンドクラウンのような金属のフレームの表面に白い材料をつけているタイプの差し歯の場合、歯茎が下がるとマージン部(被せ物のへりの部分)の金属が見えてきて、黒く見えてしまうことがあります。
●黒ずんだ歯根が見えている
歯茎が下がり、歯根が見えてくることがありますが、差し歯の場合は神経のない歯に行うため、歯がグレーがかっていることが多いものです。それに加え、差し歯の土台部分であるコアは保険治療の場合、銀を含んだ合金を使用しており、その銀イオンが溶け出して歯を黒く変色させてしまいます。そのせいで差し歯の下が黒っぽく見えてしまうことがあります。また年数の経った差し歯の場合は、その部分が虫歯になっていて黒くなっていることもあります。
1.差し歯の土台を非金属のものにする
差し歯の土台(コア)を金属にすると歯茎が黒くなってしまう可能性が高くなるため、金属を使用しないファイバーコアにすると良いでしょう。ファイバーコアはファイバー樹脂でできており、金属に比べて適度なしなやかさも備えているため、差し歯でよく起こりがちな歯根破折(根っこが割れてしまうこと)も非常に起こしにくいという特徴も持っています。また、白い色をしているため、被せ物をオールセラミックなどにしたとしても、金属の土台のように金属色が透けて審美性を落としてしまうこともありません。
2.差し歯の被せ物部分を金属不使用のものにする
差し歯の被せ物はセラミックがよいのですが、セラミックにも金属を使用したものとしていないものがあります。歯茎を絶対に黒くしたくなければ、金属を一切使用しないオールセラミックか、ジルコニアセラミックを選ぶとよいでしょう。ジルコニアセラミックは、非常に硬いため、割れにくく、噛み合わせの力が強い人にも向いています。
歯茎が下がり、差し歯の下が虫歯になっていて歯茎まで黒く見えていた場合、虫歯をしっかりと取って金属不使用の材料で差し歯をやりかえるだけで、歯茎の黒ずみは解消します。
しかし、差し歯を金属不使用のものに変えたとしても、歯茎自体が黒くなってしまっている場合、放っておいて歯茎の色が元に戻るわけではありません。すでに黒くなってしまった歯茎をピンク色にするためには、歯茎についてしまった色素を取り除く必要があります。差し歯の金属イオンが溶出して歯茎が黒くなってしまっている場合、歯科用のレーザーで色素を取り除くことができます。
歯の周囲の歯茎が黒くなっていると、それだけで老けた印象や不健康そうな印象を与えてしまうものです。差し歯が入っていると歯茎が黒くなってしまうのは仕方ない、と諦めている人もいるかもしれませんが、ここでお話ししたように、黒ずみを改善することは十分可能です。気になる人は歯医者さんで相談してみましょう。
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