インプラント

差し歯とインプラントの違い

2017.12.28
世間一般的に差し歯とインプラントのイメージは似ているようで、混同している人は多いようです。「歯を抜いたら差し歯にできますか?」というようなご質問を受けることがよくあります。おそらく、「差し歯は骨にさすもの」と考えている人が多いのでしょう。ですが、差し歯とインプラントは全く違うものです。今回は両者の違いについて、また、差し歯やインプラントがダメになってしまう原因や、それぞれを長持ちさせるための秘訣についてご紹介していきたいと思います。

差し歯とインプラントは全く別物です

差し歯とインプラントは全く別物です
差し歯とインプラントはどちらも歯茎の下に差し込まれているものではありますが、全く違うものです。それぞれの違いをご紹介しましょう。

●差し歯とは
差し歯は、歯が残っている状態で行われる治療です。歯というのは歯茎の上に出ている「歯冠」と、骨に埋まっている「歯根」に分けられます。虫歯で歯冠が大きく壊れてしまっても、歯根部分は歯冠よりも2倍以上長さがあるため、歯根がしっかりしていれば、その部分に土台を立てて歯冠部分に被せ物をすることで、歯をまた機能させることができます。つまり差し歯は歯根に土台を「差し」てその上に歯を立てるので、そのように呼ばれているのです。差し歯は歯根の中に土台を入れれば良いので、手術は必要としません。また、差し歯は保険治療、保険外治療から選ぶことができます。

●インプラントとは
インプラントとは、歯が抜けた部分、問題があって抜いた部分に対して、金属製(チタン性のネジ状のもの)の人工歯根を骨の中に埋め込み、その上に人工の被せ物をする治療です。インプラントを行う際には手術が必要で、全身的な病気を持っている人では、場合によってはできないこともあります。インプラント治療は保険がきかない治療で、比較的金額が高くかかります。インプラント以外で抜けた歯を補う治療法としては、ブリッジや入れ歯があります。

差し歯がダメになってしまう原因

差し歯がダメになってしまう場合の原因としては、「歯根破折」が挙げられます。差し歯というのは、歯根の中(神経が入っていた場所)に土台を差し込んで行うため、当然歯の神経はもうなくなっています。神経がない歯というのは、歯に栄養が行き渡らないため、ただでさえもろくなっています。そしてそこに、土台というくさび状の形をした土台が入り、歯で噛むたびに力がその部分にかかってしまうので、場合によっては歯根を真っ二つに割ってしまうことがあるのです。このように歯根が真っ二つに割れてしまうと、差し歯はもちろんですが、差し歯の入っていた歯自体も残せなくなるので、抜かなければならなくなります。

インプラントがダメになってしまう原因

インプラントがダメになってしまう原因は「インプラント周囲炎」です。インプラントは人工の歯根ですが、埋まっている骨と人工歯根との間に、お口の中の不潔などの様々な原因により細菌感染を起こすことがあります。これは天然の歯に起こる「歯周病」がインプラントに起こったものと考えて良いでしょう。しかし、インプラントと骨との結合は天然歯よりも細菌感染に弱いため、しっかりとしたお手入れをしていないと、歯周病よりも進行が早く、長持ちさせることができません。

差し歯を長持ちさせる秘訣

差し歯を長持ちさせる秘訣
差し歯を長持ちさせるためには、歯根破折をさせないことをよく考える必要があります。差し歯をするには保険、保険外いずれかの材料を選んで行うことになりますが、多くの人は「リーズナブル」という面で、保険の材料を選ぶ傾向があります。しかし、保険の場合、土台は「メタルコア」と呼ばれる金属のものになり、この硬い金属が歯根を破折させやすいとう問題点を抱えています。また、このメタルコアの材質である銀合金は唾液中に溶けて歯茎を黒く着色させてしまったり、金属アレルギーの原因になったりする可能性があります。

差し歯を保険外の材料でやる場合、土台として「ファイバーコア」という材質を選ぶことによって歯根を割れにくくすることができます。ファイバーコアは適度なしなやかさを持っており、金属を使用していないため、金属アレルギーの心配もないですし、歯茎を黒くさせることもありません。

インプラントを長持ちさせる秘訣

インプラントを長持ちさせるには、インプラント周囲炎への対処をしっかりとする必要があります。インプラント周囲炎を起こす原因となるのは、お口の中の歯周病細菌です。そのため、毎日の歯磨きを丁寧に行い、定期的に歯科医院でお口のクリーニングを受ける必要があります。

また、インプラント周囲炎を悪化させるリスクファクターとして、歯ぎしりなどの異常な力や、糖尿病のような全身の抵抗力を下げてしまうような病気、喫煙などが挙げられます。そのため、歯ぎしりをしている場合には歯医者でマウスピースを作ってもらう、定期的に噛み合わせの状態をチェックしてもらう、全身の健康に気をつける、タバコを吸わない、というようなことも必要になってきます。


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