審美歯科

謎の湿疹が治らない・・もしかしたらそれは歯科金属アレルギーかも

2018.04.28
体に原因不明の湿疹や蕁麻疹ができてなかなか治らない、という場合、もしかしたらそれは金属アレルギーが原因かもしれません。現在アレルギーを持つ人は年々増えていると言われており、日本国内では気管支喘息が約800万人、花粉症を含むアレルギー性鼻炎の人は国民の40%超、10人に1人がアトピー性皮膚炎と、2人に1人は何らかのアレルギーを持っているとされています。金属アレルギーもアレルギー疾患のうちの一つで、肌に直接触れるネックレスやピアスなどのアクセサリーを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、口の中に入っている銀歯などの歯科用金属が口とは全く関係ない全身の皮膚に、アレルギー症状を起こすことが知られています。

金属自体はアレルギーを起こさない?

金属自体はアレルギーを起こさない?
人間の体には、自分にとって異物が入ってくると、「抗体」と呼ばれるものを作って異物を攻撃する免疫システムが備わっています。しかし、この免疫システムが過剰に働いてしまうことによって、体に様々な炎症反応を起こしてしまうのがアレルギーです。

金属自体は実はアレルゲン(アレルギーを起こす原因となるもの)ではありません。ではなぜ金属がアレルギーの原因になるのかというと、金属が汗や唾液などの体液にイオン化して溶け出し、それが体内のタンパク質とくっついて、体にとって異物であると認識されてしまうからなのです。

金属アレルギーの症状

金属アレルギーの症状として次のようなものが挙げられます。

●金属が触れたところのみに現れる接触性皮膚炎
こちらが一般的によく皆さんが想像する金属アレルギーで、アクセサリーなどの金属が直接触れた部分が赤くなったり、かぶれたり、かゆみが出たり、腫れたりというような炎症症状を起こす場合です。金属が触れた部分が汗をかくことで、金属イオンが溶け出し、たんぱく質と結合してアレルギー反応を起こします。特にピアスは金属イオンが皮下組織に直接触れている部分があることから、反応を起こしやすいと言えます。口の中では、銀歯が触れている粘膜がただれたり、口内炎を起こす場合があります。

●全身にアレルギー症状が現れるもの
金属というのは食品や車の排気ガスなどにも含まれていて、それを皆、知らず知らずのうちに体内に取り込んでしまっています。そして、そのような体に蓄積された金属が体内のたんぱく質と反応してアレルギー反応を起こすことがあります。

また、銀歯のような口の中の歯科用金属が、直接触れることのない全身の皮膚に症状を起こすこともあります。これは、口から入って体に蓄積された金属が、汗と一緒に皮膚から排出されるときにアレルギー反応を起こすからだとされています。そのため、汗をよくかく場所(手のひらや足の裏)に「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」と呼ばれる多数の小さな痒みを伴う膿だまりを作る症状が代表的で、そのほかにも全身性にアトピー性皮膚炎や、コインのような形の湿疹を作る貨幣状湿疹(かへいじょうしっしん)などを起こすことが知られています。

このようなアレルギー反応は、金属が体に長年蓄積されてから起こり始めることも多いため、「これまで長年銀歯で大丈夫だった」という人でも、ある日突然アレルギー反応が出てくることがあるため、注意が必要です。

歯科金属でアレルギーを起こしやすい金属

歯科金属でアレルギーを起こしやすい金属
歯科金属といっても、様々な種類の金属が使われており、アレルギーの起こしやすさというのもそれぞれ異なります。金属でアレルギーの原因になりやすいものとしては、ニッケル、コバルト、アマルガム(水銀)、クロム、亜鉛、パラジウム、銀などが挙げられますが、これらは歯科治療でもよく使われている金属です。これらは卑金属と呼ばれるもので、唾液などに晒されるとイオン化しやすいため、アレルギーの原因となりやすいのです。

それに対し、貴金属であるゴールド、プラチナ、チタンなどは唾液に触れてもイオン化しにくく、安定しているため、歯科金属アレルギーを起こしにくいと言えます。しかし、特にゴールドのように合金で使われるような場合には卑金属も混ざっているため注意が必要です。

歯科金属アレルギーの治療法

すでにアクセサリーなどでアレルギーを起こしたことのある人は、金属アレルギーだと認識しているので歯科用金属のアレルギーにも敏感になっているかもしれません。ですが、アクセサリーでアレルギー反応を起こさない人でも歯科用金属がアレルギーを起こしているケースもあります。

もし、長く続いている体の湿疹が、歯科用金属が原因である場合、塗り薬などを塗り続けてもそれで治癒することはありません。もしも原因不明の皮膚の病気がある場合、一度皮膚科で歯科用金属のアレルギーテストを受けてみることをおすすめします。ですが、それで100%判明しない場合もあるため、できればお口の中の詰め物や被せ物には卑金属のものを使わない、というようにした方が安全だと言えます。心配な人は担当歯科医師に相談してみましょう。


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