●現在の銀歯は戦後の経済的事情により採用されたもの
この銀歯、実は昭和36年から使用され続けている、ということをご存知ですか?この時代は戦後の経済状態があまり良くなかった時なのですが、その当時の国の財源をなるべく圧迫しないように、ということで開発された安価な金属が、現在でも使用されている保険の銀歯なのです。決して、「素晴らしい材料だから」という理由で採用された金属ではないのです。
保険の銀歯は「12%金銀パラジウム合金」と呼ばれるもので、よく「金パラ」と呼ばれています。「金」が最初につきますが、決して金の配合比は多くなく、全体のわずか12%、他にパラジウムが20%、銀50%前後、銅20%前後、残り、インジウムなどが数%、という組成になっています。ここで多く含まれる「銀」は唾液中に銀イオンとなって溶け出し、歯茎を黒くしてしまう「メタルタトゥー」の原因となります。また、パラジウムは金属アレルギーを起こしやすい金属として知られています。
つまり、保険で使われている銀歯は、「安価で医療費を圧迫させない」、という理由で使われているだけに過ぎないのです。
1.銀歯は金属アレルギーを起こすことがある
銀歯は金属アレルギーを起こすことがあるため、注意が必要です。銀歯による金属アレルギーの症状は口の中にとどまらず、体の皮膚に湿疹を起こしたり、手のひらや足の裏に「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」と呼ばれる皮膚炎を起こしたりすることがあり、何が原因かわからず、一向に治らないので、悩み続けてしまうことがあります。
2.銀歯は二次カリエスを作りやすい
銀歯は、二次カリエスを作りやすいという弱点があります。二次カリエスとは、治療をしてからしばらく経つと、治療したところと歯との境目から虫歯ができてしまうことを言います。銀歯が二次カリエスを作りやすい理由として
・銀歯と歯をくっつけているセメントが唾液中に徐々に溶け出し、隙間ができてしまう
・製作上の理由で、銀歯は実は厳密にぴったり歯に合っていない
ということが挙げられます。
二次カリエスができやすいと、数年も経たないうちに治療をし直さなければならないだけでなく、歯がどんどん虫歯で侵され、早く歯を失うことにつながっていきます。
3.銀歯は口臭を引き起こしやすい
銀歯が外れた時、悪臭にびっくりした経験のある人もいるのではないでしょうか。2で述べたように、銀歯と歯をくっつけているセメントは唾液中に溶け出し、隙間が開きます。そしてその隙間に細菌が繁殖してしまうので悪臭がするのです。この臭いは口の外に口臭となって出てしまう可能性があります。
4.銀歯は審美的ではない
銀歯はご存知の通り、見た目が美しいとは言えません。銀色なので、口の中も暗く見えてしまいます。日本人のように口の中にたくさん銀歯が入っているのは、世界的に見ても珍しいのが現状です。
5.銀歯はメタルタトゥーを作る
銀歯はメタルタトゥーと呼ばれる、歯茎の黒ずみを起こします。これは金属イオンが唾液中に溶け出して、歯茎に着色をしてしまうことで起こります。メタルタトゥーは一度ついてしまうと、自然に取れることはありません。
6.銀歯は歯周病を起こしやすい
銀歯は表面に細かい傷がつきやすく、歯ブラシや食べ物の擦れる刺激で、実はたくさんの傷がついています。そのため、その傷には多くの汚れや細菌がたまってしまい、その部分に接触する歯茎は炎症を起こし、歯周病を発症、悪化してしまいやすいのです。
以上のように、銀歯は値段以外に特におすすめできる理由というのがありません。そして、その値段も一見、安くは感じますが、結局のところ早めにやり直しが必要になることが多く、早く歯をダメにしてしまいやすいため、決して安上がりとは言えないのです。皆さんも治療を受ける際には、そのことをよく考えて、材料を選択するようにしていきましょう。
安岡デンタルオフィスでは、セラミックをはじめとする良質な材料を取り揃えております。それぞれに特徴がありますので、お気軽にお問い合わせください。
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